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漢方の風音 2号 腰痛、ヒザ痛、脚弱、尿不利

2013-06-09

バリトン 中川 義雄

 人間の老いは目及び下半身からやって来ると言われて居ります。私も最近、頓にその衰えを実感している所です。漢方の言葉ではそれらの弱りの事を“腎虚”といいますが、腎虚になると脳細胞の衰えは先ず有ります。又、腎機能の衰えも読んで字の如く有りますが、副腎(副腎ホルモン)の衰えも含んでいるのが漢方医学の考え方の特徴です。従って副腎の機能である糖の代謝、ミネラルの代謝(尿量、血圧と関係します)は勿論の事、排尿困難、排尿異常(漢方用語で尿不利と言います)も骨の代謝(骨を丈夫にする)も弱ってきます。更に“肝腎要め”の言葉通り東洋医学では肝と腎は母子関係にあり、肝もそれに連れて弱ります。そうすると、肝と腱は元々深い関係が有るので骨を支持している筋肉も弱って来る。かくして腎が弱ると一連の老化現象(下半身の弱り、躓きやすい等)が現れるのである。これら一連の関係は漢方用語で〝腎は骨髄(こつずい)を主る〟と言う言葉に帰着する。

腰痛、ヒザ痛、骨粗鬆症、脊柱管狭窄症は“骨”(こつ)であり 物忘れ、シビレ、パーキンソン病は“髄”(ずい)である。だからと言って物忘れ、パーキンソン病を治そうと腎を強化してもそう簡単には行かない。認知症、パーキンソン病は心も脾も絡んでいるし、血流も絡んでいるからである。

 風邪の引き始めは、先ず悪風、悪寒(所謂さむけ)がします。又それと同時に関節(ふしぶし)が痛む場合が有ります。風寒と言う“さむい邪”が体表にとり付いたが為に“寒さ”を覚える訳であり、同時に関節にも風寒の邪が襲ってくる為に腰痛、ヒザ痛、顎関節痛もおこる。この様に風邪のひき初めと各関節痛とは大いに関係が有ります。そこで腎虚による痛みなのか風寒の邪による痛みなのか、どちらも絡んでいるのか若しくは全く別の問題が絡んでいるのかを良く弁証します。

体表(皮下)は前述しました様に関節と同じなので、膝関節に水が溜まると体表にも水が溜まる場合が有ります。乃ち、浮腫んで来ます。そのむくみは漢方医学では虚腫と言って力のない浮腫みである。整形外科で水を抜いても、又、溜まってきます。漢方薬で体表の水をぬいてやると関節の水も抜けていきます。虚腫は漢方に熟達してくると皮膚の虚実や顔貌と絡めて膝を診るとよく分かります。一方、膝の腫れに実腫が有りますが、この場合は顔が腫れることは先ず有りません。整形外科ではこの様な概念が有りませんので漢方医学の方がより実態にあっており、うまく治せると筆者は確信を持っている。

大津男声合唱団 Booklet 「ハーモニー」寄稿文より

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