滋賀県の漢方相談薬局

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1月, 2014年

34号 漢方の風 - 鼓脹・腹脹、腹満(放屁、お腹のはり) –

2014-01-19

 日を過ぎる事、数日前、ある人の紹介で60歳代の女性がご相談に来られました。相談机の前に座られた瞬間、可なり体力が落ちているのが見て取れた。

乃ち漢方医学的表現で言う大いなる虚証である。又、大いなる虚労(可成り疲れている)でもあるのが見て取れた。その女性は様々な主訴を持っておられる事(ここでは割愛します)がお薬手帳を見せて頂き良く解りました。同時にお薬手帳の必要性を改めて思い知りました。

当方への主訴は鼓脹と腹脹である。又便秘症でもあるとの事。このお腹の張りの苦しさは経験したものでないと解らないが、漢方の口訣を数々読んでいると、この腹脹、腹満が度々出てくるので私にはその辛さが良く解ります。

そのお薬手帳を見て目を疑いました。

ガ○モ○ン、ガ○コ○、ビ○フ○ル○ン、カ○グとあり最後に防風通聖散(各30日分)と有りました。恐らく便秘が有るので防風通聖散が処方されたのであろう事は察しが付きます。

 

 腹満、腹脹、便秘は漢方では実証(体力がある人)でも見られ、防風通聖散には調胃承気湯が入っており、実証の患者さんの腹満、腹張、便秘に使っても問題は有りませんが、この患者さんは明らかに虚していることが解り(虚証である事が解るの意)、服用する事により更に体力を失い、更なる腹満、腹張を惹き起こした事も充分察しがつきます。

悪いことに、生真面目なこの患者さんは30日分全て服み切ってしまった。

防風通聖散は体内の“毒邪”を二便(大小便の事)、皮膚(発汗、皮膚呼吸)、肺呼吸から食毒、風毒、水毒、梅毒、酒毒、鬱毒を排出して体調を整える処方である。

つまり体内のあり余った邪をあらゆる手段を用いて排出して、体調を整える作用である(その際、体内のエネルギーも体外に出してしまうので虚証の患者さんには絶対に使ってはならないのである)。その結果、実証の人の中性脂肪値、コレステロール値、血糖値、尿酸値等を下げてくれます。

防風通聖散の使い方は「漢方一貫堂医学:矢数 格著」に詳しく書かれていますので参考にされたい。

 

 ふと思い起こしてみて、当方の薬歴を調べてみた所、平成10年にお腹が張って辛く苦しい思いをされておられた73歳の男の方が相談に来られておられます。

やはり痩せていて、見るからに虚証で有ることが解ります。そこで厚朴、生姜、半夏、人参、甘草を購入いただき、同時に煎じて服用して頂いた所、あの辛く苦しいお腹の張りが、忽ち取れてとても喜ばれた経験が有ります。因みに大建中湯では全く効果が有りませんでした。

当時50歳代後半の女性はC型肝炎でやはり腹満で苦しんでおられましたが、便秘も有り茵陳蒿湯で治まりました。この方はその後しびれ、腰痛、ひざ痛等で困った時は当方へご相談にお見えになられています。

西洋医学と東洋医学の良いところを上手くミックスした医療が待ち望まれている今日この頃ではないでしょうか。

 

 それにしても、先出の60歳代の患者さんの処方を調剤した薬剤師さんにも上手く対応して欲しかった事は言うまでもない事です。

なかがわ漢方堂薬局 中川 義雄(昭)

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