滋賀県の漢方相談薬局

〒520-2153 大津市一里山2-14-13 一里山ユーベルハイム2F

22号 漢方の風 ーアトピー性皮膚炎ー

2009-10-19

 知り合いのAさんの息子さんは、幼少の頃からアトピー性皮膚炎で悩んでいました。彼のお母さんは、かなり神経質な方で、傍(はた)から見ていても、その息子さんには、あれこれ“口うるさく”接しているのが見て取れる程であった。その息子さんには、ルイボスティーを勧めて飲んで頂いておりました。ルイボスティーを飲むと、確かに、カサカサの肌が綺麗になるとの事で長らく愛飲して頂きました。私から言わせると、本来の病因は、母親、乃ち“母原病”なのであるが(全てのアトピー性皮膚炎がそうだとは限りません)、その事を話すと、話がややこしくなるので、取り敢えずルイボスティーで事を済ませていたのである。然しながら、ねらい通りに、よく反応してくれました。母親からのストレスが脾(消化吸収機能)に影響を与え、ペプシンによる蛋白の消化が圧迫を受け、本来より分子量の大きいペプチドが生じ、それがアレルゲンと成り、アトピー性皮膚炎を引き起こしていたのであろうと考えたからである。それは、漢方の世界で、補中益気湯が脾気を高め、更に、水を捌(さば)いて呉れる作用を利用して、アトピー性皮膚炎に使用される事と通ずる所が有ります。その母親には、抑肝散なり加味逍遥散辺りを服用して頂くと、更に効果的であったであろう。

 

 私と、ルイボスティー(学名 アスパラサスリネアリス)との出会いは20数年前になります。当時は、カフェインを含まず、スカベンジャー機能を高めてくれ、皮膚が綺麗になりますといったキャッチコピーで販売しておりました。多くの人に飲んで頂いている間に、あるお客さんが、庭の枯れかかった木の根っこに煮出し終えたティーバッグを置いていた所、枯れる筈の木が花を咲かせたので、ビックリしたと仰有れ、何かしらのパワーを持っていると確信を持ちました。

 

 南アフリカ原産のこのお茶は、微量ミネラルやケルセチン(フラボノイド)を多く含有し、脾の働きを改善し、腸管の蠕動運動を促して便通を良くして便秘を改善したり、又、蛋白質の消化を良くして、より分子量の小さいペプチドにしてくれて、アレルゲンを少なくして、アトピー性皮膚炎を改善してくれるのであろうと私なりに解釈しております。因みにルイボスティーは巷に多く売られておりますが、粗悪品が多く、よく撰品する必要があります。

 

 アトピー性皮膚炎を治すには、食事に気をつけなければなりません。少なくとも昭和30年台の食事にすると自然にアトピー性皮膚炎は治るものと確信してはおりますが、その一方、生活水にも気をつける必要があります。昔の琵琶湖のクラスターの小さい、カルシウム始めミネラルたっぷりの水を摂る事が大切なのですが…。

 

 漢方では、アトピー性皮膚炎は“湿熱”が、諸悪の根源と考えます。甘いもの、油で揚げたもの、炭酸飲料、ビール、生クリーム製品等、枚挙に暇がありません。昭和30年台には、そう簡単に、口に入らないものばかりです。“湿熱”を引き起こす食べ物が氾濫している現代では、アトピー性皮膚炎や花粉症を、いつ発症してもおかしくないのである。昭和30年台の大津の朝は、納豆売り、瀬田川シジミ売り、煮豆売り等の独特の行商人の売り言葉で朝がやって来たものです。現代では、朝食はマーガリンのトースト、コーヒー、ミルク、甘いジャム、目玉焼きといった所でしょうか。東洋の思想を学校教育、栄養学、医学が取り入れなければ、医療費の削減にはならないであろう。

 

 アトピー性皮膚炎を治すには、黄連解毒湯、温清飲、補中益気湯、猪苓湯、黄ギ建中湯、加味逍遥散、抑肝散、十味敗毒湯、白虎加人参湯、麻黄附子細辛湯、辛夷清肺湯、桂枝湯加黄ギ、消風散、越婢加朮湯、桂枝人参湯、三物黄ゴン湯、六味丸等から撰用すれば良い。  アトピー性皮膚炎治療で、ステロイド剤を多用し、腎の陰精を傷つけると、漢方的手立てを打たなければ、取り返しの着かない状況を招きかねない。

 

 一口で漢方と言っても、古方、後世要方といった日本の漢方と中国の中医学等がありますが、日本の漢方理論では、なかなかアトピー性皮膚炎は治せません。日本の漢方理論と中医理論を上手くミックスして弁証すると、可なりの確率でアトピー性皮膚炎は“本治”出来ます。つまり、体質改善出来ます(見かけだけの治療を標治と言いますが、体質改善にはなりません)。

 

 食養生無くしては、漢方と言えども治せません。従って、本当の治療をするには、施治者と患者さんが、力を合わせて取り組まなければならないのは言うまでも無いことです。

 (大津市薬会報 2009年 10月号掲載)

ページ最上部へ

Copyright© 2013 なかがわ漢方堂薬局 All Rights Reserved.