滋賀県の漢方相談薬局

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8号 ペンギン堂経験記(アトピー性皮膚炎・子宮内膜症・子宮筋腫)

2006-04-22

▲エピソード1) 手指のアトピー性皮膚炎で悩む看護助手の女性

 患者は病院勤めの50歳代の女性で、医療用具の消毒薬を使用する必要から、恐らくそれにかぶれたのであろう。見ると、所どころひび割れがあったり、ガサガサで皮膚が剥離して赤むけ状態の所があったり、所どころ分泌物が出ていて痒みが強く、一見して、正視出来ない程の気の毒な皮膚炎であった。患者は子供の頃からの汗かきで、特に頭に汗をよくかく。又、夜間、尿が一乃至二回ある。便秘気味で、ガスがよく溜まり、硬便を排便する。仕事がハードである為か、疲れ易く、睡眠は熟睡との事であった。漢方的診断で重要なのが、汗の有無と発汗する状態、そして排便の状況である。恐らく発症前は、手に大量の汗をかいていたと推察出来るが、今は手の汗腺がやられ、却って乾燥している。更に質問を重ねた所、人よりも手が熱いという事が分かった。最初、小建中湯と桂苓丸料に、別に知母・地骨皮を加えて服用願った。地骨皮はクコの根皮で、知母共々、手の熱、(煩熱という)をよく取ってくれる。次いで黄ぎを加えて再服して頂き、約四割方改善するも、汗は続いている。痒みもまだあるので、最終的に加味桂枝湯と消風散を兼用して頂いた所、まるで別人の手の様に奇麗になった。コーヒーとパン食を禁じ、米飯に切り替えて頂いた事も見逃せない。

▲エピソード2) 子宮内膜症を併発した不妊症の女性

 患者は長崎県佐世保市に住む36歳の女性で、遠隔地である為、FAXで問診を送付頂き、後はそれを元に電話で証の確定を行った患者さんである。ご主人の精子にも問題があり、妊娠はほぼ不可能である。ご主人は特に子供が欲しい訳でもなく、その後、自らの不妊治療は極めて消極的で、夫婦間の温度差は歴然としている。とにかく、奥さんの不妊を睨み乍ら内膜症の治療をする事になった。訴えは、激しい生理痛と時々生理が遅れる事があり、膣周りのカンジダによる痒みが時々起る。肩こりが強く、足先が冷え、腹が張りガスが溜まる・・・等の訴えがあった。最後に、不可欠な質問事項の汗はなく、便はかなり出にくい事が分かった。以上を漢方的に診断すると、子宮がかなり冷えている事が想像出来る。これは「お血」のなせる業と考え、桂苓丸料に牛膝と延胡索を加えて煎じて頂き、寝る前に桂苓丸加大黄を一回服用して頂いた。最初の30日分で、生理痛がかなり改善し、合計120日分服用後、主治医の診断の結果、悪い所見は全く無く、いつでも妊娠可能と太鼓判を押された。

▲エピソード3) 手術を薦められた月経過多出血を伴う子宮筋腫でお困りの女性

 患者さんは、平成元年にペンギン堂を開店して間なしの患者さんで、大変苦慮して治癒できた思い出深い治験である。昭和24年生まれの方で、来局された時は血色素6.8で、立っているのも大変と思われる程貧血が強かった。立ち眩み、朝の目覚めの悪さ、便秘,下腹部の張りが強く、何よりも筋腫(手拳大)による出血過多で、HRT療法も過日受けていたとの事で、最早、手術しか打つ手がない様な状況であった。どうしても手術したくない理由で、当店の漢方になった訳である。 又、激しい生理痛もこの患者さんを苦しめていた。先ず当帰四逆湯と牛膝・延胡索を同時に煎じて頂いた所、生理痛はほとんどなくなったが、出血量は相変らずで、折衝飲や十全大補湯・?帰膠艾湯等を経て、考え抜いた末、使ったのが温清飲と折衝飲と三七人参の併用であった。生理痛・出血が止まり、長服の結果、いつの間にか筋腫はなくなっていたのであった。

(大津市薬会報 2006年4月号掲載)

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