アトピー性皮膚炎・滋賀県・漢方薬 | なかがわ漢方堂薬局

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5月, 2013年

漢方の風音 1号 ホリスティック医学(病察医学。局方医学ではない)

2013-05-24

バリトン 中川 義雄

 平成25年3月7日、ぽかぽか陽気の中、春の到来を感じながら大阪府三島

 郡島本町へ向かって車を走らせた。町の老人福祉施策の一環として「漢方薬の現状」についての講演依頼が有ったためである。会場には80名以上の町民が来られていました。筆者は毎月1回、医療関係者向けの漢方講演(びわこ漢方サークル)を行っておりますが、その聴講者の方々に負けず劣らずの熱心さが ひしひしと伝わって来て、漢方薬に対する興味の深さを感じ取りました。日本国民一人一人が近くて遠い漢方薬なるものの本質を知りたがっている事を確信しました。

 医療界に於ける現状は、漢方薬を補完医療乃ち代替医療と規定していますが、本当にそれで良いのか、例を挙げて皆さんに問いかけてみた。

 そこで、高血圧、耳鳴り、動揺感(地に足がつかない)頭痛、肩こり等の症状を併せ持つ患者さんを例にとり、夫々の処方を比較する事にした。西洋医学では上記の患者さんには概ね「血圧降下剤、筋弛緩剤、ATP、ビタミンB12、血流改善薬」(6剤)が処方されますが、漢方医学では「釣藤散」1剤で全ての症状を取り除いてくれます。その上、自然な眠りの深さも保証してくれます。何故、釣藤散が上記の症状を全て取り除いてくれるかを詳しく説明しましたが、取り分け1つ1つの症状を取り除く「局方医学」ではなく、その人、全体(全身)を診て治す「病察医学」の大切さを説明した。又、釣藤(カギカズラ)の鈎(かぎ、とげ)の所に有効成分(リンコフィリン)が含まれており、熱に弱く煎じる時間を短くする必要があり、他の薬草と同時に煎じると効果が無くなる事もお話しして先人の知恵が科学的であった事も説明した。

 講演後漢方薬の作用機序、乃ち気血水(きけつすい)論、陰陽二元論等を考察した弁証論治法を聴講し、感銘を受けたと数名の主催者の方が仰っておられました。

 会場では質問も多数あって、総じて漢方薬の素晴らしさを感じていただけた様に思いつつ帰途についた。

 話は変わりますが、そのカギカズラの様に~カズラと称する植物に凌霄花(ノウゼンカズラ)が有ります。どちらも蔓性植物なので、蔓のある植物を~カズラと称するのだろう。ハーモニー3月号の塩田先輩の随筆に、その凌霄花の事が書かれて有りましたが、漢薬名では“りょうしょうか”と言います。中国では無月経、月経痛等に紅花、牛膝(いのこづち)、芍薬等と一緒に煎じて使います。寒熱で言えば微寒の性が有り血熱を清ます事から、痒みを伴う湿疹、蕁麻疹にも使用されます。因みに薬用部位は花部である。

            大津男声合唱団 Booklet ハーモニー6月号

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