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29号 漢方の風 ー鬱症状を伴う不安感。化膿性体質(術後の膿が止まらない)。

2011-09-12

 薬学部が6年制になり、5ヶ月の学外実習が義務付けられた。更に全国的に新しく薬学部が増設され、各学校では新入学の学生の取り込みに危機感が見られる。そこで各学校は法定の学外実習の他に特色のあるカリキュラムを既に組み入れている所もあり、又これから取り組もうとしている学校もあると聞いている。

 

医師と対等に向き合える様にする為の仮想実習や海外留学、更には特化した漢方医学を取り入れた講座等がそれである。我々4年制で学士を取り薬剤師になった者としては何処となく気後れ感はあるが、足りない2年の勉学期間を補うに余りある独自の卒後教育を実践して来たと言う自負心は有ります。取り分け大津市薬剤師会は多方面に活動し医療や福祉、教育に参画し、又会員の学力向上の為に研修会を実施して来ました。私も在宅医療部の理事を担当した時には、当時、薬剤師の在宅医療の係りが叫ばれ、在宅医療制度は勿論の事として、輸液の投与の仕方から内容迄も多くの本を読み勉強しました。又、独自の在宅患者さん専用の薬歴表も作成しました(田村先生の協力を得ながら…)。その薬歴表は滋賀県薬剤師会の他支部から、使用の申し入れが有り、今も使っておられる所もあると聞いております。又当時の会長である隠岐先生の指示もあって20万円の予算(滋賀県の医薬分業促進費)を頂き、瀬田地区の医薬分業に腐心した。全歯科医院への院外処方の働きから始め、分業をしていない開業医を講師に招き勉強会も実施した。更に思いついたのが当時、分業先進地区の長野県の上田地区が作成していた保険薬局のマップの瀬田地区版である。滋賀県では当時作成している所がなく、薬務課の分業担当官はそのマップを他の地区に見本として使用されたと聞いております。思い起こすと勉強始め様々な活動をして来た。

 

医薬分業が常態化した昨今、チーム医療の一員として医師や看護師さんとの、又患者さんとのコミュニケーションの重要性が叫ばれておりますが、うまくコミュニケート出来ていない現状が見て取れます。その為か、学校でも接遇のカリキュラムが組まれている様に聞いております。今から10数年前になりますが大津市薬剤師会の月例研修会で“接遇”の勉強会を行った事がありますが、大津市薬剤師会では既に問題意識を持ち、取り組んで来た経緯も有ります。 長らく市薬ニュースの原稿を書かせて頂いておりますが、特化した漢方医学を学んで卒業してくる薬剤師が現場に入った時に違和感を感じさせない為に、少しでもお役に立てればと思って居ります。

 

 今日は朝から、時間が取れたので急遽原稿を書いておりますが、午後からの予約のご相談内容は、一人目の方はふらつき、倦怠感を伴う不安感をお持ちの方。二人目はアトピー性皮膚炎。三人目は智歯抜歯後のトラブル(切開周囲部からの膿が止まらない)。四人目は早期(39才)に閉経に向かっていると診断された方である。一人目の不安感でお困りの40歳台の女性はパートタイムで仕事をされておられます。顔は赤ら顔で、かといって赤々している訳ではなく力のない赤さである。精神が不安定であるので重鎮安神作用の竜骨・牡蠣が配合されていて、更に気の上衝(浮陽と考えて)に効果のある桂枝加竜骨牡蠣湯を第一に、又生理周期の遅れが有り、気鬱が係っていると考え加味逍遥散を第2処方として交互に投薬しました。

 

3人目の智歯抜歯後のトラブルの方は、先ず望診(最初に見た第一印象、皮膚の色、艶等)から、脾の弱さが診てとれ、バクテリアに対する抗病力の弱さが有り、更に肉芽の形成力の弱さが有ると弁証出来ました。そこで小建中湯に黄耆末を加え、小柴胡湯との併服としました。乃ち内托(体力をつけて抗病力を増す方法)しながら炎症を取ろうと考えた訳である。この患者さんは智歯の切開術の前に内托しておけばこう言う事態にはなっていなかったと言えます。漢方医学が「未病を治す」と言われる所以である。同様に癌と診断され3大治療(摘出術、抗ガン剤の投与、放射線療法)を行う前に適切な漢方処方を服用しておくのも大切であろう…。因みに膿が止まらないその他の疾患(乳腺炎、副鼻腔炎、痔漏、面皰等)の治療には、十味敗毒散、排膿散及湯、荊防敗毒散、葛根湯加桔梗石膏、小柴胡湯加桔梗石膏を使い分ければ良い。

(大津市薬会報 2011年9月号掲載)

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