アトピー性皮膚炎・滋賀県・漢方薬 | なかがわ漢方堂薬局

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8月, 2022年

漢方の風音 16号 嗜眠証(朝起きられない)、うつ症状、ナルコレプシー

2022-08-02

なかがわ漢方堂薬局 中川義雄

最近、久し振りに睡眠傾向が強い二人の患者さんが来局されておられます。一人目の方は8時間の睡眠時間があるのにも関わらず職場で突然睡魔に襲われる。無呼吸症候群の検査も実施したがそれが原因ではないらしい。ナルコレプシーの可能性もあると言われている。問診中に咳払いをよくする事と喉をしめつけて発声している事に気が付いた。数年前には突発性難聴も罹患している事が問診の中で判明した。そこで、小柴胡湯加蒼朮茯苓製剤と香蘇散を併用して頂いた。すると嗜眠症状は取れた。続いて今現在、体質改善の目的で防風通聖散と竜胆瀉肝湯を併用して頂いている。

あと一人の方は“寝ても寝ても寝てしまう”と問診票に記入された方で疲れやすく、噫気(ゲップ)、悪心(ムカムカ)があり、お通じは軟いと記入されている。数年前にはセ〇ト〇ニ〇(SSRI製剤)を服用していたが今は廃薬しているとの事なので香砂六君子湯と人参湯を投与した。疲れやすさと悪心は無くなり嗜眠傾向も未だ少しあるが、可成り改善しているとの事なので更に眠気が無くなるまで同処方を継続服用中です。

10数年前の10歳代の男性はやはり十分睡眠時間を取っているのに関わらず朝、起きられない。更に体がだるく疲れやすく、疲れが取れないと問診票に書かれている。食事を摂ろうとするとムカついて吐きそうになるとも書かれている。身体症状としては微熱があって、とてものぼせ易く、顔が赤くなる。度々、腹痛を発する。低血圧もあって頓服でコ〇サ〇タと寝る前にセ〇ト〇ニ〇(SSRI製剤)を投薬されている。

この患者さんは虚労(きょろう)と考え、せんじ薬の黄耆建中湯(膠飴を使用)を服用して頂いた所、10日分服用で朝の起床が出来る日が出てきて更に30日分服用で微熱、腹痛が取れ、朝の起床は良好になったと薬歴に書かれている。

又、数年前の患者さんは昼夜逆転して、朝起きて学校に行けないとの相談で、吐き気があって食欲不振で倦怠感が有る。所謂、夜型生活になってしまっているのである。病院ではノ〇キ〇ンとメ〇ラ〇ク〇が投薬されている。最初、柴芍六君子湯と半夏厚朴湯との併用を20日分服用して頂いた所、元気になったので本人の判断で続服を中止した所、再度、体調が悪くなってきたので同処方を再服して睡眠も良くなった。

その後、体調良く生活していたが強いストレスがあって再度、夜の睡眠が悪くなり、朝の起床が出来なくなり、再度吐き気が出てきた。病院の診断でうつ症状と診断されレ〇サ〇ロ(SSRI製剤)を処方された。夜の睡眠が悪い所為か日中は嗜眠証と思しき眠気で食欲不振もあって体重が落ちてきた。そこで、香砂六君子湯を1日3回と寝る前に酸棗仁湯と帰脾湯と補中益気湯を併用して頂いた所、食欲が少し出てきて不安感が取れてきて1週間で数日起床出来るようになってきた。気持ちが前向きになって日中外出できるようになってきた。その後、悲喜こもごもであったが漢方薬の服用は中止した。

嗜眠証の漢方治療については30数年前のある機関誌にO先生が書かれた文章を思い出します。先生は「陰は陽に通じ、陽は陰に通じる」訳だから逆も又、真なりと考え不眠症の酸棗仁湯は嗜眠証にも効くだろうと考え、投薬したらその通り効いてくれたと書かれておりました。O先生の漢方医学センスを垣間見た思いを私は30数年間持ち続けている。

漢方の風 48号 慢性疲労症候群

2022-08-02

胃腸虚弱(吐き気、食欲不振、膨満感)

なかがわ漢方堂薬局 中川義雄(昭)

数年前、当薬局の患者さんの紹介で他府県から来られた若い女性は来局当時、体調を崩し、体重40kg台から8kg痩せたとの事。掲題にあるように胃がムカついて食事が満足に摂取出来ない。問診票には虚弱体質でアレルギー体質(塵埃、花粉)、疲れやすく、暑がりで寒がり、汗かきで傷が治りにくく、季節の変わり目が辛いと書かれている。更に問診の中で過去に過呼吸歴があり、風邪をひきやすく、引いたらなかなか治らない。お通じは一定せず便秘だったり下痢だったりする。それに足先がとても冷えて辛い。月経は痛みが強く、不順で経血は少ない。甘さより塩分を好む事も確認できた。

病院で慢性疲労症候群と診断され、補中益気湯と睡眠薬を投薬されている。補中益気湯を食前に服用すると悪心(おしん:気持ちが悪い)がするので食後に服用しているとの事。数年間、服用しているが全く改善していないとの事で当方に相談に来られたのである。お話を聞いているとその辛さがヒシヒシと伝わってくる。又、問診の途中で数回咳払いをされる事も確認出来た。

それらの事からある体質を念頭に入れながら問診を続けると、喉は紅く腫れていて中耳炎歴、副鼻腔炎があって手掌と足跡に発汗しやすい事も判明した。病院からは風邪時に桂枝湯が頓服で出されている。

問診の結果、そもそもの発病原因は持続して繰り返すストレス(内容はここでは省略します)が原因である事は明白であるが、本人の生まれながらの体質も深く関わっていると弁証することが出来た。

そこで、柴胡桂枝湯と半夏厚朴湯、六君子湯と補中益気湯を服用して頂いた所、服用途中、風邪を引くことはあるが症状は軽く、しかも早く治る。生理は順調になり生理痛も軽くなってきた。更に食欲も出てきて、体重も徐々に増えてきた。

長期に亘って服用して頂いた結果、体調が凄く良くなってきたと喜んでいただいた。

上記の生まれながらの体質とは解毒証体質の事で更に持続して繰り返すストレスが自律神経を介して胃腸を傷つけ上記の様々な症状を引き起こしていたのである。

つまり、この患者さんは真の慢性疲労症候群ではなく、喉が弱く感染しやすい体質がもともと有って、その上に持続性のストレスが覆いかぶさって発病したのであり、治療はストレス性の消化器症状を改善しながら咽喉の感染を治療且つ予防していく事である。上記の漢方処方を継続して服用して頂いた結果、徐々に体力がついて来たのである。養生の面から大切なことはこの持続性のストレスから距離を置く事であろう。

よく、喘息には自然の多い所への転地療法が良いと言われておりますが、それは今の環境で受けているウイルスやバクテリア、花粉、塵埃の侵襲を避け、更に、受けているストレスから遠ざかる事に他ならない。この患者さんに行った漢方治療は喘息ではないがこの転地療法とよく似ていると私は思っている。

以前、アメリカ大統領諮問機関で報告書を作成した上院議員のマクガバン報告の事を過去の漢方塾で書いた事が有りますが、つまり肉食を減らしてアメリカの癌の罹患率を減らした内容でしたが、マクガバン報告では他にもミネラルやビタミンなどの栄養素が乏しい野菜や根菜類を改善して、本来の栄養素がしっかり入った食べ物を摂取する事が大切でありそれを摂取すると癌の発生を減らすことが出来ると言うものもあった。転地療法ではその土地の栄養価の高い野菜なども摂取できるのであろう。

アメリカの代理母制度では喫煙やアルコールを控える事は当然として、添加物が少なく、正食(栄養素がしっかり入った食べ物)を摂る代理母に対しての報酬は極めて高額に設定されている。

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