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漢方の風音 10号 漢方書との出会い(化膿症、腫物)

2018-10-30

漢方書との出会い(化膿症、腫物)

      

中川 義雄

昭和44年大学を卒業して直ちに製薬企業に就職し、MR(Medical Representative :医薬情報担当者とは名ばかりで当時はプロパーと称し、添付による値引き合戦やドクターへの贈り物等の手段による自社製品販売が主要な仕事であったが、時に本来の医薬情報業務をする事もあった)の立場で医療界に身を置きましたが、業務内容が馴染めず1年足らずで退社しチェーン薬局に再就職しました。スーパーのテナントの薬局の店長として赴任して間もなく、先輩の岡本先生(故人)…彼も又、製薬会社に就職されましたが肌に合わなかったのかは承知していませんが早期退社して同じチェーン薬局に再就職されました…から奨めて頂いたのが大塚敬節著「症候による漢方治療の実際」と言う分厚い漢方の専門書です。当時の製薬企業の初任給が2万~3万円の時代に1冊が4000円で非常に高価な本でした。

然しながらこの一冊は、仕事内容は勿論の事、西洋医学になにか違和感を感じていた私に強烈なインパクトを与えてくれました。その違和感とは、西洋医学は感染症に対しての抗生物質は別にして慢性疾患に対しての真の治療である体質改善をすることが果たして出来るのであろうかと言う疑問であった。

当時、漢方理論が有る事も知らなかった私でしたが(漢方は経験医学で理論は無いと思っていた)、本を開いて見ると、めまい、片頭痛、咳、排尿異常、不妊、肩こり、悪心、視力障害、嚥下障害、等の漢方治療法が口訣(くけつ)の様に事細かく書かれていて無我夢中で読み、読んでいる途中からどんどんと面白くなって来て忽ち読み切りました。読後は人生を左右するとても大きな希望と灯りを与えてくれました。 それは、私が小学生低学年の時、隣近所の3名の先輩(3歳から6歳年長)に、探検と称し、連れられ、逢坂小学校の奥の朝日ヶ丘から浅井山の奥へ奥へと分け入り、途中から道に迷い、幼少だった私は必死の思いで後をついて行き、その内に日が暮れてきてほぼ暗闇の中を歩くことになりました。彷徨い歩いている内に漸く遠くで一軒家の窓明かりを見つけました。辿り着いたところは膳所の山里でした。この本との出会いはその時の灯りを見つけた時の感動に似た出来事でした。


そんな折「化膿症、腫物」編の最初に記載されている「十味敗毒湯」の使い方を読んでいたが為に一命が救えた奇跡の様な経験をしました。

スーパーのテナントの薬局の店長として働いていた24歳の頃の経験です。定期的に500グラムの平綿(ひらめん)を買いに来られるお客さんがおられました。余りにも何度も買いに来られますので、ある日、思い切ってその用途を聞いてみたのである。病名は不確かですが要約すると最初、足の指が化膿して腐敗した為に指を切断した。すると暫くすると切断部が再度化膿して腐敗してきた為に足首から先を切断したとの事。すると、暫くして再度切断部分が化膿して腐敗して来たので今度は膝の部分を切断したとの事。再度、同様に化膿、腐敗してきたので大腿部を切断した。私が思い切って訊ねてみた時が当にその大腿部が化膿してきた時であった。次は最早、切断部が無いので途方に暮れて、死を覚悟しているとの事でした。

そこで、化膿症、腫物編に書いてある「十味敗毒湯」を大塚敬節先生の本を開いて、見せながらひょっとしたら効果が有るかも知れないと思いお薦めしたのである。

数日後、すっかり忘れていた頃にそのお客さんが、ふと来店されまして、化膿が止まったので更に1箱を買いに来たとの事でした。更にその数日後、すっかり傷跡が綺麗になったと菓子折りを持ってお礼に来られました。因みにその時の十味敗毒湯は原末と釜で煎じたエキス剤とを混ぜ合わせた製剤であり、原末が入っていた事が功を奏したのだろうと思って居ります。

その後、妊娠中毒症後の腎炎(蛋白+4、尿潜血?+)で強い倦怠感の方に柴苓湯で、潰瘍性大腸炎で人工肛門の施術日程が決まっていた方が帰耆建中湯他で手術を回避出来た方、心臓の病気(病名は不明)で手術日が決まっていた方が手術を回避出来た…等この大塚敬節先生の本を参考にして多くの方の健康に寄与出来た。

そののち、陰陽虚実の弁証法や五行論、気血水(きけつすい)理論を勉強して、再度読み返した時、この本の真の素晴らしさが理解出来、更に様々な疾患でお悩みの方の治療のお手伝いが出来るようになりました。今ではこの十味敗毒湯の使い方はただ闇雲に使っては駄目で十味敗毒湯“証”(症では無く)を把握した上で使用すると様々化膿性疾患を上手く治療する事が出来ます。現在の当薬局では抗生物質代わりに他処方として「荊防敗毒散」「千金内托散」をよく使います。


大学の2年先輩で同じMRを経験して薬局に転職された同じ境遇の故岡本邦夫先生は西洋医学に自分の道を見いだせず東洋医学に関心を持ち大塚敬節先生の本と出会い、後輩の私に勧めてくれました。

故岡本邦夫先輩には今なお感謝しております。因みに岡本邦夫先生は大学の合唱団の先輩で音楽的素養が素晴らしく私が入団した時の指揮者で選曲が「眠れ幼き魂」「童謡」「真間の手古奈」「スティーブンフォスター集」「旅」「蔵王」「子守歌」「富士山」等、反戦の歌からミュージカル、童謡迄幅広いレパートリーを目指されておりました。

漢方の風音 5号 認知症と漢方薬(めまい、耳鳴り、不眠、高血圧)

2014-07-29

バリトン 中川 義雄

 以前の漢方の風音の凌霄花(ノウゼンカズラ)の所で書きましたカギカズラ(釣藤)には,枝から鈎が伸び出て、他の植物などに絡みつこうとする性質が有ります。

枝部には有効成分が少なく、鈎部にリンコフィリン(アルカロイド)なる有効成分が多く含有されております。その鈎が伸びきらない内に採取して薬用に使用します。

最近の分析では葉部に、より多くのリンコフィリンが含有している事が解って来ましたが漢方薬では鈎部を使用します。従って生薬名は釣藤鈎(ちょうとうこう)と言います。

リンコフィリンは血管を拡張して血流を高める作用が2重盲検法で確かめられております。又、精神を安定させる作用もあり、最近では脳血管性認知症に釣藤散を使用されておられる薬剤師、医師が多く見受けられます。

釣藤鈎の働きを漢方医学では“鎮肝熄風(そくふう:風をしずめるの意)”作用と言っており、高血圧、頭痛、子供の夜啼き、耳鳴り、眩暈、不眠等を目標に使用します。気が上衝するのを引き下げる働きがある訳で、謂わば、気の“頭でっかちを”正常に戻す働きと考えると解りやすいと思います。

 

 漢方医学では気・血・水を多角的に弁証します。気と血の上衝を同時に治そうとすれば通導散も認知症に使用します。

気と水を同時に治そうとすれば加味温胆湯になるわけです。

ストレス等で気の滞りが有って血流が悪くなっていて認知症を発症していると弁証出来たら?帰調血飲第一加減を使用します。(他にも有りますがここでは割愛します)。 総じて、体や脳に悪い影響を及ぼす事無く脳血流を良くする治療を漢方薬はやってのける訳で、現代医学では難しい所です。 最終的には肝、心、脾、腎、肺の五臓の弁証をしっかり行い処方の決定をするわけです。

 

 端を更ますが、呼吸は肺のストローク作用に因るわけですが、漢方医学では呼と吸に分けて考えます。

呼は肺の気が司っており吸は腎の気が司っていると考えます。

腎と言えば老化と密接に係っており、深呼吸や調息法、丹田呼吸法、太極拳、ヨガ等が老化を防ぐ目的で、日本でも最近よく行われております。

我々合唱団では4小節をノンブレスで歌いなさいと良く指揮者の先生より注意を受けますが自分の腎を養う為にも歌の表現の為にもしっかり腹式呼吸を体得すると一石二鳥であろう。

 

 然し乍ら、声帯その物の強弱が個人個人で違います。それによって声帯の振動の効率も違ってきます。

胸隔が狭く、その上、少しの肺気で効率よく声帯を振動させる事が不得手な私は“4小節をノンブレス”で歌う事が結構難しく、団を辞めようかと真剣に考えた時期がありましたが今は開き直っております。

2小節で感情を切らない様に歌う事を意識して居ります(笠谷先生曰く5~6人いるらしい)。

BS日本 こころの歌 で気をつけて見ていると、フォレスタでさえ2小節でブレスをしていることが結構見受けられますが(我が団と同じ曲目で…)ブレスの仕方が上手く、詩情は繋がっています。紙面を借りてExcuseしておきます。

 

 肺と腎の気が虚して来ている年齢の集団の合唱団であれば、それなりの(レベルがそれなりでは無く)特質を考慮して、より高度なハーモニーを目指す事が肝要ではないかと自分なりに考えております。

お仲間のお一人がメールのやり取りの中で認知症の漢方薬を教えて欲しい旨の言葉が有りましたのでこのタイトルで書いて見ました。

大津男声合唱団 Booklet「ハーモニー」寄稿文より

33号 漢方の風 ー人体は自然界・宇宙と同じ (めまい、のぼせ、頭痛、肩こりの発症の気機)

2013-07-21

富士山はいつ噴火してもおかしくないとある地質学者がテレビ番組で仰っておられました。

若し噴火すれば東京都までもが影響を受けて(火山灰の悪影響で都市機能がマヒし、政治、経済が大混乱に陥るとのこと)、数兆円の被害が発生するそうです。

私が住んでいる滋賀県は東南海地震が近い将来起こると多くの地震学者が言っておられ、津波の被害は無いものの震度5ないし6の揺れが来るそうです。

原稿を書いている(5月14日)この数十日間の間に淡路島初め3回のマグニチュード5以上の地震が日本列島を襲っている。これらの3回の地震に関して、地震予知の観点から興味深い事をテレビで言っておられました。

2年前の東北の大地震の際も一日前は、勿論の事、数時間前、更に数十分前にはマイナスイオン電子が東北の上空にどんどん集まっており、異常なマイナスイオンが固まりとなって表示されておりました。

東北沖の震源地では、北アメリカプレートの下に太平洋プレートが潜り込みプレートに巨大な圧力がかかると電位差を生じ(岩石に圧力を加えると電位差を生じる実験データが有る)、エネルギー乃ち電気エネルギーが発生し、その結果そのプレートの上部の海底の地表部(日本海溝付近)にプラスイオンが集まる。その結果、プラスイオンに引き寄せられる様にその上空にマイナスイオンが集まって来て、マイナスイオンの固まりが出来る。そこへ宇宙から(主に太陽からか?)やって来た電磁波がマイナスイオンにぶつかる。そのぶつかったエネルギーを観察するとマイナスイオンの固まりを映像として捉える事が出来る。番組では東北のあの巨大地震の際のその映像を時系列でテレビに映し出していた。

学者はプレートのせめぎあいの結果、震源地の上空にマイナスイオンが集まり、それに電磁波がぶつかり生じる現象の事を“擾乱”(じょうらん)と言っておられました。

漢方用語に“上擾”(じょうじょう、上部を擾乱の意)と言う言葉が有りますが、「地表と上空」は人体における「下部(体部)と頭部」と同じで、地震の前兆は、人体の下部のトラブルが頭部を撹乱しその結果発生する頭痛、肩こり、眩暈、不眠、イライラ、ニキビ等の一連の症状と同じである事が分かります。

巨大プレートの鬩ぎあいに対して人類はどうすることも出来ませんが、人体の下部(体部)のトラブルは漢方薬で解消することが出来ます。

人体の上部の症状とは、乃ち、上出の頭痛、眩暈、イライラ、不眠等であり、下部の症状とは悪心、口苦、口の粘り、胃重、舌苔が黄膩、胸脇部がはって苦しい、食欲不振等である。これら痰濁上擾、痰熱上擾には、半夏白朮天麻湯、温胆湯が効果を発揮します。

半夏白朮天麻湯は、元々胃腸虚弱で胃内停水があり、その上、風邪に感染したり、重い精神負担がかかったりすることに因って胃内の水毒が上逆し、それが元で頭部を擾乱し、頭痛、眩暈を惹き起こす…その様な状態のときに使用します。その眩暈はぐるぐる回転性だったり、天地がひっくり返る様だったり、地に足がつかない浮遊感だったりと様々です。

 

話は変わりますが、昨今の電気料金の高騰は生活に工業に影響を与えています。

原子力発電に期待出来ない昨今、火力発電に重きを置いている現状では為替レート、天然ガス、重油等で電気料金が左右される。地震帯に日本列島が位置しており地震からは逃れようがありませんがその分地熱はたっぷり有ります。

八丈島が地熱発電で島内の電気を賄っている様に地熱発電の効率を高め、又、風力発電、更には最近脚光を浴びている炭酸ガス及びPM2.5の発生を最大限抑えた安価な石炭による火力発電等を行えば技術力で日本は更に安価なエネルギーを手にすることが出来ます。

その為の最も重要な施策は発送電分離の法整備を行なうことであろう。

(大津市薬会報 2013年7月号掲載)

12号 宮廷女官チャングムの誓いを見終わって(めまい・つわり)

2007-04-25

 当初、勤務薬剤師のTさんと家内が毎週楽しみにしていた『大長今』(テチャングム)は、私自身全く興味が有りませんでした。ある日、調剤室で、伏竜肝(ぶくりゅうかん)なる漢方薬が話題に上がりました(昨晩の放送で出てきた為)。その事がキッカケで私もその後、『大長今』を見ることになりました。ある漢方メーカーの手帳の小半夏加茯苓湯の効能を見てみますと悪阻(つわり)に効果あり、と記載されています。その小半夏加茯苓湯は、通常の漢方薬とは、煎じ方も服用法も違っています。私が、幼少の頃、生家には、釜戸(おくどさん)があり、その釜戸から屋根を貫いて煙突がそそり立っていた。母親の手伝いをして釜戸に薪(まき)をくべて、ご飯を炊いたりお湯を沸かしたりした思い出があります。その煙突には、煤がたまり煙突掃除屋さんなる職業も有りました。一方、釜戸には、灰土が貯まり、煙突へぬける空気孔が詰まらない様に、時々その灰土を掻き出し掃除をしたものです。その灰土を含んだ釜戸の土が即ち、伏竜肝である。小半夏加茯苓湯は、その伏竜肝を水に浸け、その上澄み液で、半夏、生姜、茯苓を煎じたものが本来の小半夏加茯苓湯であって、メーカーより発売されているエキス剤は、恐らくそうではないと私は思っておりますが…果してどうなのでしょうか。つまり伏竜肝の上澄み液で煎じた小半夏加茯苓湯は釜戸の灰土を含んだ土の成分が大きな役割を果たしているのである。又、一般的な漢方薬の服み方は、煎じた液を3回に分服し、しかも熱いうちに又は温めて服用するのが通例である。この小半夏加茯苓湯は“歩くこと一厘計りにて服用すべし”とあり、約一時間毎に服用し、杯に一杯ずつ、更に、冷まして服用する様に…と口訣に有ります。そのように調剤室でTさん、家内に説明した事がキッカケで、どんな薬草が出てくるか興味を持ったが為に、私もハマッテしまったのである。然しながら、番組が進む内に、脈を診る場面と鍼を打つ場面が多く見られるものの薬草はあまり見られず、特に私が志している日本の漢方とはいささか違っていた。一方東洋医学で最も大切な、全体観つまりホリスティックな東洋的手法は漢方の本質なのだが、その本質は全く同じであった。その本質をチャングムファンが分かってくれると良いのだが…と思っていたのですが、一般の人にとっては、やはり、そこの理解は、少々難解だった様です。

 今から数年前エビデンス(根拠に基ずいた医療)に立脚した医療が叫ばれるようになった時、現代医療的感覚が絶対的とされ、漢方薬は、医療ではなく代替医療(Alternative)のカテゴリーに包含されてしまった。その代替医療である漢方薬が難治とされる病気に効果を発揮してくれる事は、何と皮肉な事であろうか。故青木先生から、「科学が迷信か、迷信が科学か、」そこが大切と、荒木正胤先生が、仰っていた…と聞いた事があります。  旧大津市内の年配の女性が、私の所のホームページを見て相談に見えました。主訴は、雲の上を歩くようなメマイである。ある病院でパ○シ○、リ○ゼ、ド○マ○ー○、ハ○シ○ン、メ○ス○ン、セ○ド○ル、イ○バ○ド、が処方されている。約一時間ご相談にのりましたが、一番大切な事は何が原因で現症を呈す様になったかであって、そこの所を考えた時、その患者さんが、如何なる生活をし、何を食し、如何なる環境で過ごして来たか、はたまた、如何なる性格か、間違った健康法を実践していないか、心に痞えているものはないか、更には、如何なる死生観を持っておられるか、等々問診するのである。その患者さんは、胃下垂があり、頭帽感があり、低血圧症で、仕事に、家庭にと一所懸命に働いてきた事等を顧慮して、半夏白朮天麻湯(加味方)の煎じ薬を服用していただいております。  最近になって、びわこ漢方サークルの受講希望者が増えてきました。いま、現在、太陽病下篇を終わろうとしている所ですが、(ここを終えると半分以上終えた事になる。)少しでも多くの方に、漢方を理解して戴きたいと願っております。(ご希望の方は、いつでもご参加下さい。)その為にも、次回の講習会では、少し、最初に戻ってから…と、思っております。

 日本の漢方では、『証』を重要視します。証とは一種のカテゴリー分類であり、例えば、皆さんが、一番馴染みのある葛根湯を例に取りますと、脈が浮いており、寒気があり、項の凝りがあり、汗は出ていなくて、体力的には、弱っていなくて、(表実証といいます。慢性病の場合は寒気がない)の体質的カテゴリーの人がいた時、その人の現代医学的病名が何であれ、例えば、“蓄膿”“ニキビ”“下痢”“腰痛”“夜尿症”“リュウマチ”“扁桃腺炎”“蕁麻疹”“結膜炎”“頭痛”“頸肩腕症候群”“皮膚病”“母乳の出が悪い”“鼻炎”…等全て治るのである。最近、あるホームページを見ていたところ、防風通聖散は、決して肥満症の薬ではありません。それは一貫堂医学(明治時代に*森道伯先生が興した漢方理論大綱)がお腹に皮下脂肪がついている『重役腹』…を目標にした事から始まっているからと書いてありました。前回の「漢方塾」でも書きましたが、一貫堂医学では、決して重役腹のみを目標にしている訳ではなく、臓毒証なる『証』を目標にしております。テレビや様々なメディアでやせ薬としての位置付けで、宣伝しておりますが(証が合っていない事が多い為)、効果がない事の方が圧倒的に多く、むしろ、見えない‘害’が忍び寄っている事のほうがあるかもしれない。企業の倫理観が問われます。漢方薬始め医薬品を軽く見ては?大変な事になりますヨ?と言いたい。TVで、ヨーロッパのある国が、インドの綿花地帯で、布製品を(仕上がったショール等は、EU諸国でブランド物として、販売されている。)、劣悪な環境のもと、苛酷な労働を強いて、生産している状況をドキュメント放送しておりましたが、強烈な酸、アルカリの液の中で、素手、素足で仕事をしている人達や、重金属をため池に流し込んでいる場面等を見るにつけ、化学薬品を扱った経験のある者としては、空恐ろしさを感じ、同時に怒りを覚えました。企業の倫理観は、一体何処へ行ってしまったのだろうか。富める者が貧しい人達の犠牲の上に立っているのが、現実であるとナレーションは、結んでいた。この様に、今こそ、グローバルな世界観を持つ事が、大切であり、医療においても、全体的発想(ホリスティック)でなければならないのである。それが故に、なかがわ漢方堂薬局は“人に優しく、自然に溶け込む”を、理念としているのである。                                            *《森道伯先生:医者でもあり宗教家でもある。禅に参じ、真言に通じられ、霊的感覚を体得された医術家であった、と漢方一貫堂医学(医道の日本社) に書かれている。体質を三大証に分類し漢方治療を実践された。?血証体質、解毒証体質、臓毒証体質がそれである。防風通聖散は臓毒証体質に用いられ、大正から昭和の初期にかけて頻用されたが、最近は用いる機会が少ないと故星野良明先生より教わった。?血証体質には通導散、解毒証体質には柴胡清肝散、荊芥連翹湯、竜胆瀉肝湯を用いる。》

(大津市薬会報 2007年 4月号掲載)

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