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18号 漢方の風 ー腎臓病(腎炎、頻尿、尿路感染症、性感染症…他)

2008-11-23

 いつぞやの漢方塾で“鼻炎の特効薬”である小青龍湯が突然発症する浮腫(漢方では風水と言います)にとても良く効く旨の文章を書きました。この小青龍湯は花粉症に良く使われており、一般的によく知られておりますが、鼻汁がクシャミと共にタラタラと流れる鼻炎や、痰が無色で然も量が多い喘息にとても良く効きます。これは心下に溜まった余分な水が風邪等の外邪によって、上方に衝動せられ(感染等の刺激、漢方では、外邪と言います)上気道に溢れて来た結果であり、決して、気の流れのベクトルが下方に向いていないが為に(気が上方に向いているが為に)、尿不利(尿が出にくい)になります(尿は下方にベクトルが向いて出やすくなります)。その結果、突発性の浮腫を起こします。この場合、小青龍湯が驚くほど著効を発揮します。漢方薬は効き目が遅く時間をかけて、じっくり効いてくるとの一般論が有りますが、この場合は即効が期待出来、とても良く効いてくれます。乃ち、感染症と腎炎等の浮腫みが関係している場合が漢方学的見地から見ると度々見受けられます。扁桃炎をともなう急性腎炎には、越婢加朮湯がとても良く効いてくれます。これらは、妊娠している場合は使わないのが普通です。その妊娠腎には、当帰芍薬散、五苓散、小柴胡湯、柴胡桂枝乾姜湯、九味檳榔湯、等を撰用すると良いと思います。更に腎臓、膀胱、尿路等の感染症には、小柴胡湯、柴胡桂枝湯、五苓散、猪苓湯、五淋散、竜胆瀉肝湯、猪苓湯合四物湯、通導散合竜胆瀉肝湯、等から撰用すると良い。

 水健康法が流行る昨今、それでなくても、ドロドロ血をサラサラ血に保つ為に、水分の補給が第一と、何処へ行くにもペットボトルを持参している人を良くみかけます。決して否定するものではありませんが…。  水よ水、身体のどこかに、寄り道して、居座らないで…と願うばかりである。脳細胞に居座ると、頭痛や眩暈、耳鳴りの原因にも成りかねない。又、消化管に居座ると下痢や胃下垂、逆流性食道炎の原因にも成りかねない。表皮に近い所に居座ると多汗症やアトピー性皮膚炎を引き起こす事にも成りかねない。蚊に刺された後、皮膚炎をおこし、なかなか治癒しない人がおられますが、それは、表皮に近い所に水が溜まっているからで、黄耆なる薬草を使い、表の水をさばくと治癒が早まります。  私にはこの様な経験が有ります。高校時代に20人ばかりで、地元の比良山に良く登りました。夏山は暑くて水分の補給が最も大切である。およそ20?30分歩くと休憩を取ります。その度にポリタンの水を飲むのですが、その時は余程、喉が渇いていたのか、少し飲み過ぎたが為に、休憩の後、出発して間もなく、ひどい疲労感に襲われ、歩けなくなってしまいました。その結果、わたしのザックを他のメンバーが担ぐ事になり、とんでもない迷惑をかけてしまいました。その時以来、私は喉が渇いても、冷たく冷やした水分は一度に沢山摂取しない様気をつける様になりました。漢方を学習した今、その理由が良く分かります。その一方、沢山の冷たい水分(例えば冷やしたビール)を飲んでも平気な人もおられます。水分摂取は個別的であるのです。私に診を乞うてやって来られた方には、水の摂り方をよく指導致します。水健康法で生理不順、アトピー、ニキビを悪化させた人を随分見て来ました。(水の摂取は、あくまでも個別的であります。)人間は、ひとつひとつの細胞迄、有機的に生きているのである。水の取りすぎが理由で、細胞間隙に水が溜まったり、延いては組織までも水が溜まったりして様々な病的症状を引き起こす人が多く居られます。人が健康を保つ上で「水」の摂取と排泄は注意深くしなければなりません。

 最近、頻尿で悩む人が随分増えて来た様に思います。その頻尿の遠因は地球温暖化が原因と言った事がありますが、清心蓮子飲、小建中湯、柴胡桂枝乾姜湯等で改善される人がおられます。地球温暖化と共に身体が暑くなり、水分を余計に摂ってしまったり、汗が出すぎて、その結果「心」を弱らせてしまったりして、頻尿が起こるのである。上記の処方がそれぞれ「心」に効果があるのは、言うまでも有りません。やはり、頻尿の治療にも「五臓」を見渡さなければならないのは言うまでもない。  甘食厚味な食習慣と平均気温の上昇が尿の浸透圧を上げたり、濃縮尿を引き起こしたりして、尿路系の感染症を引き起こし、一方では性感染症の蔓延を引き起こしているのであると私は考えております。食育と共に日本の食文化を見直さなければなりません。学校教育の中に日本の食文化を取り入れる時が来ているのでは無いでしょうか…。感染症においても食事が密接に関係しているのであり、医療においても、抗生物質や抗菌剤で、菌を“たたく”ばっかりの治療の見直しを計る時が、遅きに失しないよう真の漢方を広めなければならないと思っております。

 (大津市薬会報 2008年 11月号掲載)

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