アトピー性皮膚炎・滋賀県・漢方薬 | なかがわ漢方堂薬局

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21号 漢方の風 ー東洋医学的「胃」と「脾」について(出血、倦怠感、子宮脱、多汗)

2009-08-30

☆胃と脾…胃は受納と腐熟を主り、脾は運化を主る。更に胃は降濁を主り、脾は升精を主る。  胃気の正常な働きは“降”(下方)作用で有り、この働きが、逆に上に向いた(升)時に、  吃逆(しゃっくり)、噫気(げっぷ)や胃液が逆流したり、咽喉が詰ったりする。人によっ  ては、咳が出ることもある。   ……半夏厚朴湯で治療する。

 脾の正常な働きは“升”(上方)であり、失調して下に向いた時に下痢や胃が痞えたり、  延いては貧血、痩削(体重減少)を引き起こす。       ……六君子湯で治療する。

☆脾は生命活動の維持に必要な物質の産生と供給を行う⇒「後天の本」と言う。      ※脾の働き      (1)正常な脾の働きにより気・血・津液(水)が十分に作られると        気の固摂作用によって血管壁が丈夫になり、血液がもれずに        循行する(脾が弱いと不正出血、歯茎の出血等の原因になる)      (2)脾は肌肉・四肢を主る       …四肢、体幹、内臓の横紋筋・平滑筋を栄養する。        (脾が弱いと倦怠感、疲れ、手足のだるさを引き起こす)

☆胃と脾の働きを含めた消化吸収機能全般を「中気」と言う。(例 補中益気湯)

☆気虚の主な症状:元気がない、疲れ易い、言語に力がない、汗をかき易い、息切れ、             舌質が淡白、胖大、脈は無力等。  脾胃に気虚が起こると(気虚の中心)…疲れ易い、四肢がだるい、食欲不振、腹満、下痢、                    便秘、内臓下重、子宮脱、脱肛、等を引き起こす。

☆気虚の治方を補気(益気)と言う。  人参・黄耆・炙甘草等の補気薬と白朮・茯苓・山薬等の補脾薬を使用する。

☆四君子湯<和剤局方>…人参4g、白朮4g、茯苓4g、(炙)甘草1g   (1)脾胃気虚を治す:症状は上記の気虚とほぼ同じ。   (2)治方を補気健脾と言う。

☆六君子湯は、二陳湯と四君子湯の合方である。

☆二陳湯<和剤局方>…半夏5g、陳皮4g、茯苓5g、炙甘草1g、干生姜1g   (1)肺胃の痰湿の改善:白色で多量の喀痰、咳嗽、口が粘る、悪心、    嘔吐。時にめまい感、動悸、不眠等もともなう事がある。(治方を燥湿化痰と言う)   (2)二陳湯の組成…(小半夏加茯苓湯に陳皮と甘草が加わった物):半夏、生姜、茯苓 (痰    飲による胃気上逆乃ち悪心・嘔吐・吃逆を治す)と陳皮、炙甘草 (肺の痰湿による咳嗽・    喀痰を治す)により構成されている。

☆六君子湯<和剤局方>のまとめ…人参、白朮、茯苓、炙甘草、半夏、陳皮、生姜、大棗   (1)四君子湯と二陳湯との合方   (2)脾胃気虚の症候に痰湿or症候(*)をともなうもの      *(悪心、嘔吐、呑酸、上腹部のつかえ、水様便、痰、咳嗽)   (3)臨床の眼     心下部の痞え、食欲不振、疲れ易く、貧血気味、冷え性の者が多い。     胃炎、胃下垂、胃アトニー等に用いられ、消化不良、胃癌、悪阻、     神経衰弱、胃腸型感冒、老人の体力低下の改善、潰瘍性大腸炎に用いられる。     胃内停水、腹が軟弱、脈も弱い、全体に虚証の者を目標とする。   (4)胃癌で、胃除去術後、吃逆が止まらない     →六君子湯加旋覆花

☆補中益気湯<弁惑論>…人参、白朮、黄耆、当帰、陳皮、大棗、生姜、炙甘草、柴胡、升麻   (1)虚証の疲労負担を補益する。(気虚に用いる)   (2)結核、夏痩せ、病後の疲労、虚弱体質改善、食欲不振、虚弱者の感冒、    脱肛、痔疾、子宮脱、胃下垂、多汗症、遊走腎、ヘルニア等に用いられる。    食後眠くなる、手足がだるい、息切れ、頭がボーっとする等を目標にすると良い。   (3)脾胃気虚をともなう、出血傾向に用いる。(皮下出血、歯茎の出血、月経過多等)   (4)舌質は淡紅・淡白   (5)目標は…、    1)手足の倦怠感、2)言語が軽微、3)眼に力がない、4)口内に白沫が出る、    5)食の味がなくなる、6)熱い物を好む、7)臍辺りの動悸、8)脈は散大で力がない    の内1ー2症状あれば良いと書かれている (津田玄仙)    散大の脈とは、浮いていて散乱している脈。押さえると漸次消えて行く。   (6)黄耆    本草備要:気ヲ補ヒ 表ヲ固ム。          汗無キハ能ク発シ、汗有ルハ能ク止ム。    荒木正胤:肌表の水毒をとる。皮フの水疱、麻痺、疼痛を取り、          元気を増し、黄汗を治す。          痛みが一ヶ所に集った様に痛い事、夕方から夜が更けない内は、          手足を動かし回し、苦しがってねむれない。これを黄汗という。          胸がふさがって食べられなくて、その胸のふさがった所がつまった          様に痛くて、夕方から宵のうちは、非常に苦しがって眠れない。   (7)癌の放射線治療時の白血球減少に      →補中益気湯加鶏血藤を使用すると白血球数が上昇する。

 (大津市薬会報 2009年 8月号掲載)

18号 漢方の風 ー腎臓病(腎炎、頻尿、尿路感染症、性感染症…他)

2008-11-23

 いつぞやの漢方塾で“鼻炎の特効薬”である小青龍湯が突然発症する浮腫(漢方では風水と言います)にとても良く効く旨の文章を書きました。この小青龍湯は花粉症に良く使われており、一般的によく知られておりますが、鼻汁がクシャミと共にタラタラと流れる鼻炎や、痰が無色で然も量が多い喘息にとても良く効きます。これは心下に溜まった余分な水が風邪等の外邪によって、上方に衝動せられ(感染等の刺激、漢方では、外邪と言います)上気道に溢れて来た結果であり、決して、気の流れのベクトルが下方に向いていないが為に(気が上方に向いているが為に)、尿不利(尿が出にくい)になります(尿は下方にベクトルが向いて出やすくなります)。その結果、突発性の浮腫を起こします。この場合、小青龍湯が驚くほど著効を発揮します。漢方薬は効き目が遅く時間をかけて、じっくり効いてくるとの一般論が有りますが、この場合は即効が期待出来、とても良く効いてくれます。乃ち、感染症と腎炎等の浮腫みが関係している場合が漢方学的見地から見ると度々見受けられます。扁桃炎をともなう急性腎炎には、越婢加朮湯がとても良く効いてくれます。これらは、妊娠している場合は使わないのが普通です。その妊娠腎には、当帰芍薬散、五苓散、小柴胡湯、柴胡桂枝乾姜湯、九味檳榔湯、等を撰用すると良いと思います。更に腎臓、膀胱、尿路等の感染症には、小柴胡湯、柴胡桂枝湯、五苓散、猪苓湯、五淋散、竜胆瀉肝湯、猪苓湯合四物湯、通導散合竜胆瀉肝湯、等から撰用すると良い。

 水健康法が流行る昨今、それでなくても、ドロドロ血をサラサラ血に保つ為に、水分の補給が第一と、何処へ行くにもペットボトルを持参している人を良くみかけます。決して否定するものではありませんが…。  水よ水、身体のどこかに、寄り道して、居座らないで…と願うばかりである。脳細胞に居座ると、頭痛や眩暈、耳鳴りの原因にも成りかねない。又、消化管に居座ると下痢や胃下垂、逆流性食道炎の原因にも成りかねない。表皮に近い所に居座ると多汗症やアトピー性皮膚炎を引き起こす事にも成りかねない。蚊に刺された後、皮膚炎をおこし、なかなか治癒しない人がおられますが、それは、表皮に近い所に水が溜まっているからで、黄耆なる薬草を使い、表の水をさばくと治癒が早まります。  私にはこの様な経験が有ります。高校時代に20人ばかりで、地元の比良山に良く登りました。夏山は暑くて水分の補給が最も大切である。およそ20?30分歩くと休憩を取ります。その度にポリタンの水を飲むのですが、その時は余程、喉が渇いていたのか、少し飲み過ぎたが為に、休憩の後、出発して間もなく、ひどい疲労感に襲われ、歩けなくなってしまいました。その結果、わたしのザックを他のメンバーが担ぐ事になり、とんでもない迷惑をかけてしまいました。その時以来、私は喉が渇いても、冷たく冷やした水分は一度に沢山摂取しない様気をつける様になりました。漢方を学習した今、その理由が良く分かります。その一方、沢山の冷たい水分(例えば冷やしたビール)を飲んでも平気な人もおられます。水分摂取は個別的であるのです。私に診を乞うてやって来られた方には、水の摂り方をよく指導致します。水健康法で生理不順、アトピー、ニキビを悪化させた人を随分見て来ました。(水の摂取は、あくまでも個別的であります。)人間は、ひとつひとつの細胞迄、有機的に生きているのである。水の取りすぎが理由で、細胞間隙に水が溜まったり、延いては組織までも水が溜まったりして様々な病的症状を引き起こす人が多く居られます。人が健康を保つ上で「水」の摂取と排泄は注意深くしなければなりません。

 最近、頻尿で悩む人が随分増えて来た様に思います。その頻尿の遠因は地球温暖化が原因と言った事がありますが、清心蓮子飲、小建中湯、柴胡桂枝乾姜湯等で改善される人がおられます。地球温暖化と共に身体が暑くなり、水分を余計に摂ってしまったり、汗が出すぎて、その結果「心」を弱らせてしまったりして、頻尿が起こるのである。上記の処方がそれぞれ「心」に効果があるのは、言うまでも有りません。やはり、頻尿の治療にも「五臓」を見渡さなければならないのは言うまでもない。  甘食厚味な食習慣と平均気温の上昇が尿の浸透圧を上げたり、濃縮尿を引き起こしたりして、尿路系の感染症を引き起こし、一方では性感染症の蔓延を引き起こしているのであると私は考えております。食育と共に日本の食文化を見直さなければなりません。学校教育の中に日本の食文化を取り入れる時が来ているのでは無いでしょうか…。感染症においても食事が密接に関係しているのであり、医療においても、抗生物質や抗菌剤で、菌を“たたく”ばっかりの治療の見直しを計る時が、遅きに失しないよう真の漢方を広めなければならないと思っております。

 (大津市薬会報 2008年 11月号掲載)

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