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漢方の風 39号 アナフィラキシー

2017-01-21

漢方ガン治療の考え。

なかがわ漢方堂薬局 中川 義雄(昭)

大学の薬理学の授業で犬を使ったアナフイラキシーの実験が有りました。予め、ある蛋白質をアレルゲンとして注射しておいた犬に授業の始めに同じ物質を注射した所、犬は私達学生の前でたちどころにアナフィラキシーを発症して死に至った。

私の三番目の兄は52年前の大学3回生の6月に心臓弁膜症の手術を受け約2週間後に死亡したのですがその兄が術前自宅療養している時にペニシリン系の抗生物質の注射を受けた所、酷い薬疹が出た。主治医が急いで抗アレルギー剤かステロイド剤か定かでは有りませんが(私は高校3年生で分からなかった)何かを注射して事なきを得た。

又、平成4年頃当薬局の上階のマンションに住まいしていた医大の学生さんにOTCの総合感冒薬を販売した所(勿論薬剤アレルギーの確認をした事は言うまでも有りません)、服用後、峻烈な呼吸困難を伴うアレルギー反応を起こしたのですが急遽医大病院で点滴を受けて回復した。その学生さんの父親は医師で、その原因物質を特定する様に当薬局を通じてメーカーに求められたが、そのドクターも日頃良く使用する成分ばかりで、結局、明確に原因物質を特定できなかった。メーカーの学術の説明では成分中の抗ヒスタミン薬が原因物質であろうとの説明であったが父親である医師も私も納得出来るものでは無かった。

更に30年程以前に私が販売した咳止め薬のコ○○○○を服用した女性が酷いアレルギー反応を起こして救急車で緊急係院した事も経験している。その時はコーヒーを水変わりで服用した事が原因でしょうと係院先のドクターが指摘して終わったのですが結局は原因物質を特定する事も無く終わった。

数年前、先進国の殆どの若い女性が子宮頸がんワクチンを接種した。その結果EUのある国の女性達が子宮頸がんワクチンの後遺症であろうとの認識のもと、国と製薬会社と闘っているドキュメンタリー番組を見たことがある。最近、漸く日本でもその動きが有った所ですが彼女たちの苦しみを見るにつけ何とも言えない気持ちになります。早く健康を回復される事と迅速な因果関係の解明を願うばかりです。医薬品を扱う私達は覚悟して薬を扱わなければならないし、患者さんが薬の害作用を被らない様に最善の努力を尽くさなければならない。


漢方薬の世界では小青竜湯や麻黄湯を服用して脱汗を発症し死線を彷徨った方が少なからずおられます。これは上記のアナフィラキシーとは分けて考えなければならない。それは小青竜湯や麻黄湯が悪いのではなく飲み方、飲ませ方が悪かったのが原因であり(全てがそうとは言えませんが)、上記の薬品アレルギーとは別の問題と考えるべきです。脈診、問診をしっかり行い更に病機(病気ではなく)を見て使用しなければならない。夫々の漢方薬の使い方を傷寒論(漢方医学のバイブル書)では厳しく規定しているのである。


端を更めますが(平成28年)11月に中医協(中央社会保険医療協議会)がオプジーボの薬価について協議した。その結果、保険の適応症の拡大と引き換えに来年2月から薬価が50%引き下げられる事になった。その際小野薬品工業は25%の引き下げと目論んでいたと言われていますが当事者の小野薬品工業は当然として他の製薬企業も不安感に襲われたとネットに書かれていた。長い期間を要して多大の研究費をつぎ込んで開発した新薬が思うように薬価に反映されなければ製薬企業が不安を抱くのも無理はない。一方支払い側である保険者、国は大変な負担増になり保険医療制度が危うくなる。今後、この規模の新薬が開発されれば同じことが繰り返されるであろう事は察しが付く。難題である。

そのオプジーボの作用機序を勉強してみると人間の持っている免疫システムには驚くばかりです。唯、私が思うに一貫堂漢方医学の弁証論治から俯瞰して見るととても似通っている様に思えてならない。

一貫堂漢方医学では体内のガン細胞は保身の為に又遠隔に転移したいが為にある種の生理活性物質(仮にガン毒と言います)を放出しているであろうと仮定している。従ってそのガン毒である生理活性物質を漢方薬で体外に排出(解毒と言います)し乍ら、一方では免疫力を上げる漢方薬を投薬すると言う論治法である。

最近、医療界では薬物療法や放射線療法を実施したあとの血液データの改善に補作用(ほさよう)である漢方薬が頻繁に使われています。ガン毒である生理活性物質を解毒せずして補う漢方薬を与えればガン細胞そのものを補ってしまうから、一貫堂漢方医学ではこの投薬をとても危惧している。

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