アトピー性皮膚炎・滋賀県・漢方薬 | なかがわ漢方堂薬局

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36号 漢方の風 - アルツハイマー型認知症・アトピー性皮膚炎

2015-01-08

 数年前の事ですが、某大学の薬学部に在籍する学生さんとお話しをする機会が有りました。

その際、その学生さんはアトピー性皮膚炎を罹患して困っておられ、私が漢方医学に携わっている事を知って、質問をされた次第である。

その学生さんは皮膚が乾燥して痒みが強く皮膚科の医院に受診した。

保湿剤の軟膏と抗アレルギー剤と抑肝散が処方されたとの事であるが、将来の薬剤師の卵である学生さんは自分に抑肝散が処方された作用機序が解らず、ネットで調べて見たとの事である。

神経症、不眠症、小児夜啼き等が書かれておりアトピー性皮膚炎の際のイライラ、不眠、痒みにも効果があると書かれていたとの事である。

14日分を服用したが効果はサッパリで、自分には合わなかったのだろうと思っていたのだが、この機会に私にエビデンスを聞いて見たいと思った訳である。

その学生さんはサッパリした性格で言葉が流暢で会話が楽しく、自分の気持ちを素直に表現出来る、落ち着いた明るい性格の持ち主であった。

決して肝血(※)が虚していて、肝陽が抑えられないタイプではなかった。なので、その学生さんには効果が無くて当然で、抑肝散に効果が無かったのではなく、又、合わなかったのでも無く、合わせられなかったと考えるのが妥当でしょうと説明し、大切な事は望診や問診を行った上で、つまり“抑肝散の証”<肝血の虚に乗じて肝陽が上亢している>を弁証した上でアトピー性皮膚炎の患者さんに投薬する事が基本であると説明した所、複雑な気持ちを抱いていた。漢方薬は東洋医学的EBMに則った使い方が大切であるとその学生さんには教える事が出来た。

 今から20年近い前に、生前、親しくさせて頂きました故広瀬滋之先生(数多くの漢方の著書が有ります)の京都での漢方講演を拝聴しに行った時に、世の漢方施術者に対して、漢方薬が合わなかったのでは無く、合わせられなかった事を深く考えるべきと仰っておられました。

その言葉を聞いて私自身も身が引き締まる思いを覚えた。

アトピー性皮膚炎に対する抑肝散の作用は前号の“LEAKY GUT SYNDROME の所で書きましたが”脾“のペプシンの作用をフリーにしてより小さいペプチドに分解する事であろう。又、三焦の流れを良くする事も考えられる。

 その抑肝散は最近、アルツハイマー型認知症(AD)、レビー小体型認知症に高頻度に処方されます。所謂、周辺症状(怒り、イライラ、不安、妄想、徘徊他)の改善に使用されます。根治療法にはならないとされております。

ADの場合は(アミロイドカスケード仮説)はアミロイドβの沈着が重要視されていますが最近の研究で陳皮に含まれているノビレチンが非常に有効であるとされる研究論文が発表されております。

ノビレチンの抗認知作用は

  1. 記憶障害改善作用
  2. 脳コリン作動性神経変性抑制作用
  3. アルツハイマー型認知症の原因物質とされるアミロイドβの沈着抑制作用
  4. 神経成長因子

が動物実験で確認されている。(東北大学で抗認知症への動物実験を行っている。又、最近、それに基づいて東西の大学病院で臨床実験が開始されたと聞いております。)

 ノビレチンはシークヮーサー始め柑橘系の果皮に含まれているが、通常の温州みかんの果皮にも若干含まれている。

所が、最近、コタロー社がある地区で高濃度にノビレチンを含有しているミカンを見つけ、その果皮のエキス剤をノビレチンピ(第3類医薬品)と号して発売を始めた。乃ちノビレチンピは一種の温州みかんの果皮で健胃、鎮嘔、鎮咳、去痰の効能・効果で上市されております。

当薬局では現在3名の方に服用して頂いている所です。

 認知症の漢方治療は古くは桃核承気湯、当帰芍薬散が取り沙汰されておりましたが最近では「釣藤散」「?帰調血飲第一加減」「加味温胆湯」「通導散」「通導散合桂枝茯苓丸」「通導散合竜胆潟肝湯合補中益気湯」「加味帰脾湯」「通導散加桃仁牡丹皮合?帰調血飲第一加減」他から弁証を行って理法方薬通り行うと良いでしょう。中でも通導散には大いに期待が持てます。(通導散は強い薬方で使い方が難しく素人療法は禁物です。その際は漢方の専門家にご相談ください。)

 ※肝血:「肝は血を蔵す」とされる。腸管で吸収された栄養物質を含んだ血(けつ)は門脈系を通じ肝蔵に入り、分解、合成され貯蔵される。更に肝は自律神経系を主る為、血管運動に関与し身体各部の血流量を調節する。

更に女性には子宮に血液を供給し子宮の平滑筋や内膜を濡養(なんよう)して、或は自律神経を介してホルモン分泌を調節して月経を正常に行わせる。

陰陽互根であり、肝血は陰で、肝陽をコントロールしている。

なかがわ漢方堂薬局 中川 義雄

漢方の風音 5号 認知症と漢方薬(めまい、耳鳴り、不眠、高血圧)

2014-07-29

バリトン 中川 義雄

 以前の漢方の風音の凌霄花(ノウゼンカズラ)の所で書きましたカギカズラ(釣藤)には,枝から鈎が伸び出て、他の植物などに絡みつこうとする性質が有ります。

枝部には有効成分が少なく、鈎部にリンコフィリン(アルカロイド)なる有効成分が多く含有されております。その鈎が伸びきらない内に採取して薬用に使用します。

最近の分析では葉部に、より多くのリンコフィリンが含有している事が解って来ましたが漢方薬では鈎部を使用します。従って生薬名は釣藤鈎(ちょうとうこう)と言います。

リンコフィリンは血管を拡張して血流を高める作用が2重盲検法で確かめられております。又、精神を安定させる作用もあり、最近では脳血管性認知症に釣藤散を使用されておられる薬剤師、医師が多く見受けられます。

釣藤鈎の働きを漢方医学では“鎮肝熄風(そくふう:風をしずめるの意)”作用と言っており、高血圧、頭痛、子供の夜啼き、耳鳴り、眩暈、不眠等を目標に使用します。気が上衝するのを引き下げる働きがある訳で、謂わば、気の“頭でっかちを”正常に戻す働きと考えると解りやすいと思います。

 

 漢方医学では気・血・水を多角的に弁証します。気と血の上衝を同時に治そうとすれば通導散も認知症に使用します。

気と水を同時に治そうとすれば加味温胆湯になるわけです。

ストレス等で気の滞りが有って血流が悪くなっていて認知症を発症していると弁証出来たら?帰調血飲第一加減を使用します。(他にも有りますがここでは割愛します)。 総じて、体や脳に悪い影響を及ぼす事無く脳血流を良くする治療を漢方薬はやってのける訳で、現代医学では難しい所です。 最終的には肝、心、脾、腎、肺の五臓の弁証をしっかり行い処方の決定をするわけです。

 

 端を更ますが、呼吸は肺のストローク作用に因るわけですが、漢方医学では呼と吸に分けて考えます。

呼は肺の気が司っており吸は腎の気が司っていると考えます。

腎と言えば老化と密接に係っており、深呼吸や調息法、丹田呼吸法、太極拳、ヨガ等が老化を防ぐ目的で、日本でも最近よく行われております。

我々合唱団では4小節をノンブレスで歌いなさいと良く指揮者の先生より注意を受けますが自分の腎を養う為にも歌の表現の為にもしっかり腹式呼吸を体得すると一石二鳥であろう。

 

 然し乍ら、声帯その物の強弱が個人個人で違います。それによって声帯の振動の効率も違ってきます。

胸隔が狭く、その上、少しの肺気で効率よく声帯を振動させる事が不得手な私は“4小節をノンブレス”で歌う事が結構難しく、団を辞めようかと真剣に考えた時期がありましたが今は開き直っております。

2小節で感情を切らない様に歌う事を意識して居ります(笠谷先生曰く5~6人いるらしい)。

BS日本 こころの歌 で気をつけて見ていると、フォレスタでさえ2小節でブレスをしていることが結構見受けられますが(我が団と同じ曲目で…)ブレスの仕方が上手く、詩情は繋がっています。紙面を借りてExcuseしておきます。

 

 肺と腎の気が虚して来ている年齢の集団の合唱団であれば、それなりの(レベルがそれなりでは無く)特質を考慮して、より高度なハーモニーを目指す事が肝要ではないかと自分なりに考えております。

お仲間のお一人がメールのやり取りの中で認知症の漢方薬を教えて欲しい旨の言葉が有りましたのでこのタイトルで書いて見ました。

大津男声合唱団 Booklet「ハーモニー」寄稿文より

31号 漢方の風 ー不眠、不安感、頭のふらつき

2012-07-05

 平成24年6月17日のY新聞にベンゾジアゼピン系薬剤である抗不安薬・睡眠薬により薬物依存に陥る危険性の事、又ベンゾジアゼピン系薬剤(以下BZ※)の服薬中止や減薬の際に現れた場合の離脱症状を減らす「やめ方」に関する記事が書かれていた。この記事を読み、ごく最近まで「止め方」のマニュアル、指針が無かった事を知った患者さん達は、さぞかし憤慨されておられる事でしょう。その主な離脱症状は更なる不安増大、イライラ、集中力低下、頭痛、吐き気などの精神、身体両面(※)に現れる。驚いたことに、日本での人口1000人当たりの使用量は米国の6倍にのぼると国連の国際麻薬統制委員会が2010年に報告していると書かれている。欧米では薬物依存を防ぐ為に使用を4週間以内に抑えるのが一般的とされている。日本の現実を見ると数年単位で服用しておられる患者さんが多数おられます。又、話は逸れますが、ずっと以前、大津市薬剤師会の講演で医師のT先生がBZ系薬剤の長期服用による認知症発症の危険性を話された事は記憶に新しい(動物実験で)。

 

 Y新聞の記事では、Tさん(40歳)は人前の過度の緊張、発汗の改善を目的として、BZ系薬剤(ソラナックス)を1日の最大量を4年半服み続けたが効果が無く、主治医の指導のもと半分に減薬した所、日光が異常に眩しい、暗闇でチカチカした光が見える、白内障、入眠時ミオクローヌス等の離脱症状が現れ、ベンゾジアゼピン離脱症候群と診断されたと書かれている。最近、BZ系薬剤の止め方の手順が英国のヘザーアシュトン教授によって「アシュトンマニュアル」としてインターネット上で読むことが出来る様になった。日本語のこの指針は、“正しい治療と薬の情報誌”に、この7月に記載される予定(平成24年6月に原稿を書いています)との事である。又、BZ以外で同様の影響を及ぼす薬剤もあると書かれている(デパス、マイスリー、アモバン)。  私の記憶ではBZ剤は今から44年前、私が薬剤師になった頃には既に上市されていたと記憶しております。この指針は遅きに失した感が否めません。このBZ系薬剤を処方された患者さんに接遇した時、「こんなに長く服んでも、大丈夫ですか?」と質問を受けた薬剤師は恐らく全員ではないでしょうか…。  当薬局にも、この不安感、フラツキを訴える患者さんが頓に増えていますが、漢方処方を決めるに困窮することが多い。五臓を見亘し、乃ち心、肝、脾を弁証し更に腎、肺と考えていきます。虚陽が昇り神(心)を冒すと桂枝加竜骨牡蠣湯で重鎮安神する。実証には柴胡加竜骨牡蠣湯を考える。心と脾を考えた時は帰脾湯を、脾と痰濁上擾を考えた時は(竹茹)温胆湯を、脾と腎を考えた時は苓桂甘棗湯を、…他、と言った具合です。

 

 最近、K社からこの苓桂甘棗湯のエキス剤が上市された。苓桂甘棗湯は「汗を発して後、其の人臍下悸する者は奔豚(ほんとん)をなさんと欲す」と傷寒論に記載されている。奔豚病は猪が突進するかのように下腹部から動悸が始まりやがて胸から咽まで衝き上がってきて、今にも心臓が止まりそうと悶え苦しむ。嘔吐、ヒステリー、神経症、下腹部痛、胃液分泌過多、尿利減少、便秘、癲癇様症状等を同時に惹き起こす事が多い。当然、耳鳴りやフラツキを同時に惹き起こし、不安感を併発する事もあるでしょう。  これは腎の孤陽が上衝した結果発症するものと考える事が出来る。乃ち脾の働きを高めて(大棗、甘草)、陰精を作り、又、茯苓で心気を高めてその陰精を運び、上衝の邪を鎮め、桂皮で上衝の気を降ろし抗不安作用を発揮します。

 

 私が平成元年に漢方薬局を始めて、間もなく、この奔豚病で苦しんでいる40歳代の男の患者さんが来店されました。腹部の動悸と不安感で困窮されておられるとの事であった。赤ら顔で、腹部の動悸を強調されておられました。Doctor Shoppingを繰り返し、その苦しみを訴えても、なかなか理解してもらえないもどかしさが病態を更に悪くしている様に思えた。当時、エキス剤が無く煎じ薬で対応しました。この腹部の動悸を抑える為にβブロッカーを投薬され、Depression様症状に陥った患者さんを数人見てきました。心の気を抑える事になり、精神作用に悪影響を及ぼした為であろうと私なりに考えております。その際、服用を中止したものの、元の精神閾値に戻る可逆性は実に時間がかかる様に思っています。これらを見て、漢方医学で言う所の「心は神なり」を実感します。  他の処方では、心陰の不足と脾虚による不安感には、甘草と大棗と浮小麦で脾気を高めて生津し、心陰を補って不安感や悲哀感(漢方医学では臓躁と言います)をなくすものも有ります。  K社さんの苓桂甘棗湯が上市され、奔豚の病の患者さんの不安感、フラツキに対処出来る手立てが増えた事は私に安心感を与えてくれます。

※ BZ系薬剤…ソラナックス、コンスタン、レキソタン、マイスタン、リボトリール、ランドセン、セルシン、ワイパックス、ドラール、ベンザリン、ハルシオン、ユーロジン

※ 他の身体症状…筋硬直、疲労感、眼痛、耳鳴り、嗅覚異常、月経異常 、等

※ 他の精神症状…不眠、幻覚、パニック発作、抑鬱、強迫観念、等

(大津市薬会報 2012年7月号掲載)

19号 漢方の風 ー精神的ストレスによる胃腸疾患・不眠

2009-01-20

 最近のニュースで、来年(2009年)から、マグロの漁獲高の制限の国際協定が実施されようとしていると伝えていた。一ころの凡そ30%の水揚げだそうである。マイワシに至っては最盛期の10%しか獲れていないとも伝えていた。スケトウタラも激減しているらしい。マグロの世界一の消費国は勿論、日本である。手軽に食べられる回転寿司の消費が拍車をかけているそうである。加えて中国、EU諸国の消費量も激増しているから、乱獲になるのは、いわば当然の成り行きである。日本のバイヤーは、マグロの買い付けに、頭を痛めているのだそうである。マグロ一つにしても、世界(経済)全体で一体化しており、地球規模で水産資源の将来を協議するのは、有って然るべきであろう。…となると、アメリカの劣後債権・プライムローンの不良債権化から始まった今日の経済危機は、“実体”の無い経済問題だけに、マグロの問題以上の難しさを秘めている。 ある経済学者は、実体の無い、言わば虚構に価値を見い出し、それを売り買いする所から脱却して、実体に有った、言い換えると“物質”や“技術”等に価値を見い出して行く経済社会にしなければならないと言っていた。

 人体に当てはめて、漢方的に言い換えると、実体である物質(陰的物質)、乃ち五臓や精(血 液等)を大切にしましょうと言う事になるのであろうか。現代人の健康を、陰陽の物差し で、全体視した時、確固とした物質(漢方では陰精と言います、)の担保が少なくなっている様に思える。つまり、東洋医学的アプローチで、何を、どの様に、どれ位、食するかが大切であると考えています。見た目の体格の良さよりも、例え、スマートでも確固とした陰精と健全な精神を宿した身体作りをしなければなりません。つまり、魂を大切にしなければならない。現代社会において、 “精微な物質的根拠が少ない”が故に“気が先走る”落ち着きの無い子供が増えている(モンスターペアレント等、大人にも多い)のも、当然と言えば当然である。

 我が医療業界を見たとき,EBM(根拠に基ずいた医療・医薬品)に根ざした医療が大切であると言われています。ややもすると、医薬品のみに根拠を求める風潮がある様に感じております。私自信、嘔吐と下痢で、夜中に救急で病院に駆け込んだら、専門外の眼科医が当直だった経験をしていますが、身分を明かして、当方の希望に沿った処方をして頂き、ホッとした事も有ります。特に漢方薬の投薬において、EBMのM(Medicine)は医薬品(漢方医薬品)だけの問題でなく、医療者のEBMについても、少し、根拠が足りないのではと、感じる時が多々見受けられます。漢方薬を長く調剤していると、処方箋を書く側と調剤をする側、双方に“根拠に基いていない”ケースが見受けられる事は、残念な事です。良く処方される加味逍遙散、葛根湯、補中益気湯、当帰芍薬散…等の構成生薬と役割分担は少なくとも知っておかなければならないのは言うまでも無いことですが…。果して如何でしょうか?漢方医学の基礎知識を根拠とすることによって,多少なりとも、医療費の削減も期待出来るのですが…。反面、薬草は天然資源(一部、栽培品もあります)だけに、マグロと同様、資源の枯渇を招いては、未来の子孫に申し訳が立たなくなってしまう、いわば諸刃の剣的要素も包含している。漢方薬を処方する時、“地に根ざした原生薬“を思い浮かべ乍ら処方しなさいと故青木先生に教えられました。薬草の無駄づかいを戒め、薬草に感謝の気持ちを持ちなさいとも教えられました。一つ一つの薬草を計量しながら煎じ薬を調合していると、薬草に感謝の気持ちが自然に湧いて来ます。”勿体無い“根拠の無い使い方は、厳に慎みたいものです。

 話は変わりますが、最近、私が良く使う処方に、(加味)帰脾湯があります。不眠で困って おられる人に使うのですが、胃腸が弱く、軟便?下痢若しくは便秘で、疲れ易く、めまい、 健忘(物忘れ)、不眠、熟睡感が無く、多夢を目標に使います。この処方は四君子湯の変方 で、それに養心安神作用の薬草が加味された処方構成になっています。従って、独特の望 診※が有り出血傾向が高いのは、言うまでも有りません。中枢神経の抑制性伝達物質であ るGABAを介して視床下部や大脳辺縁系を抑制するいわゆる睡眠薬とは、睡眠の“質” が違い、寝覚めの気だるさやフラツキはなく熟睡出来る様になったと患者さんは仰います。 その他に、不眠に良く使う処方は桂枝加竜骨牡蠣湯、柴胡加竜骨牡蠣湯、抑肝散、加味逍 遥散、黄連解毒湯、清心蓮子飲、瀉心湯、黄連湯、温胆湯、柴胡桂枝乾姜湯、猪苓湯、半 夏厚朴湯、等が有ります。

 無分別な木の伐採でアマゾンが大変な状況に有ります。そこで、移民入植した日本人が、 「アグロフォレストリー」なる「森の農業」を始めているとBS放送で放映していました。 収益を上げながら、森を再生しておられる日本人の知恵に、感服しました。薬草において も、子孫が漢方薬の恩恵を未来永劫に受けられる様に、生薬が枯渇しない方策を漢方薬メ ーカー始め関係者が知恵を絞って確かなものにしなければならない。然しながら、その前 に大切な事は、生薬の無駄使いをしないことであろう。

 ※望診…四診(望、聞、問、切)の一つで、患者さんを見た時の印象(表情、顔色、艶、 髪、鼻の形等)で判断する診断法。

 (大津市薬会報 2009年 1月号掲載)

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