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漢方の風音 9号 腸内フローラ 自律神経失調症 生理痛 口内炎

2018-02-11

腸内フローラ。自律神経失調症。生理痛。口内炎

      

なかがわ漢方堂薬局 中川 義雄(昭)

可成り以前、口内炎と腸内細菌とその漢方治療について薬剤師会の会報に寄稿した事が有ります。

通常は腸管内に有るある種の細菌がビタミンB2を作り出し、そのビタミンB2が補酵素として働いて代謝(クエン酸サイクル)を円滑にして口内炎を防いでいるのだが、そのB2生産細菌が何らかの理由で減少した時に口内炎が発症します。漢方医学では<上熱下寒>と言ってお腹が冷えてゴロゴロと鳴ってトイレに行き下痢をする(下寒)…その結果、ビタミンB2生産細菌を下痢で消失する。一方、上半身は熱を持ってニキビが発生したり脳が興奮して不眠だったり、又、炎症を発生しやすい状況を作り出す(上熱)。その結果、その両面が相まって口内炎が発生します。

上半身は熱を持ち下半身(お腹)は冷えて下痢をする時に半夏瀉心湯を服用してお腹を温め、(上である)口内の熱を冷ますとその細菌が再び増殖してビタミンB2を作り出し、その結果、口内炎は治癒するのである。

これは腸管内の細菌が人の健康に大いに係っている。つまり後出の腸内フローラが疾病に関与している事を示唆しているのですが当時、今ほど腸管と健康の因果関係は分かっていなかった。只、アメリカのハウザー食の提唱者であるゲイロード・ハウザー博士は腸管と健康の関係を説いて、乳酸菌、酵母を主成分にしたハウザーローヤルを上市していた。同時にハウザー小麦胚芽とケールを主成分にした緑の野菜…ハウザーグリーンを摂取することを提唱して健康長寿法を説いた。当時、医学界はその説には殆ど関心が無かった様に思います。


最近、その腸管内の細菌叢(腸内フローラ)と疾病との関係が多方面(主にアメリカ)で研究、発表されている。アメリカでは慢性疲労症候群や鬱病、肥満の患者さんに健康な人の糞便を移植して夫々の疾患を治療する試みがなされて良い成績を収めている。

最近では30種類の病気と腸内フローラが関係していることが解明されている。糖尿病、癌、肥満、アレルギー、鬱病、慢性疲労症候群などである。

腸内フローラはテレビで再三、取り上げられて放映されており、視聴された方も多いかと思います。

そこで、漢方医学と腸内フローラとの関係を考えて見ましょう。

四逆散(柴胡・芍薬・枳実・炒甘草)と言う漢方処方が有ります。この処方薬は「肝気鬱結」を目標に使用します。肝気鬱結とは肝の本来の働きが疏滞した状態を言います。肝は感情、情緒を主っていますので、肝の気が疏滞すると感情、情緒が鬱滞します。つまり、鬱症状や不安感やイライラ、自律神経失調症と言った症状が出てきます。肝の経絡は子宮、卵巣に繋がっていますので生理痛や月経不順も出てきます。「五行論」では肝は自然界の木に配当します。木は土(土壌)の栄養を吸い上げて宇宙へ向かってノビノビと伸びて行きます。謂わば、土の犠牲の上に乗っかって居るわけです。従って木と土は良好な関係ではありません。

臨床では、四逆散は木(自律神経等)が伸びやかでない時に効果を発揮してくれます。

肝の気が異常になれば「脾」である土(土壌)にも悪影響を及ぼしてきます。「脾」とは胃、腸管などの消化器官全般を主る臓器を言い、自然界では土に配当します。現代医学の脾臓とは違います。

ここで、自律神経と消化器官、主に腸管との関係が分かって来ます。正常な腸の働きと自律神経、脳神経には相関関係がある訳です。

自律神経が安定し感情が安定している時は腸内も安定している事が理解出来、感情が鬱的であったり、ストレスを受けている時は腸内フローラも正常さを失う事になるのである。

正常な脳のネットワークを維持する為の主な刺激電動物質はセロトニンである。人体のセロトニン分布は腸管が90%で脳内が2%であり、最近の研究で脳内のセロトニンは腸管から供給されていることが解明されている。腸内環境が良いと脳にセロトニンを確り供給出来る事が想像できます。

以上の事を踏まえると肝の気の鬱結を治療する「四逆散」の重要さが分かります。

以前、※大津市薬剤師会の会誌に腸管侵漏症(腸漏れ)の記事を書いたことが有りますが、その内容は本来吸収されない分子量の大きい物質(ホルモン剤や未消化の蛋白質等)がひび割れした腸管から侵入して腸管の神経叢と抗原抗体反応を起こし、腸管の神経叢と発生学的に同じ脳内の神経に抗原抗体反応が波及して委縮症やパーキンソン病を惹起していると言うものである。これも又、腸と脳の病気の関係性を言ったものです。

※詳しくは当ホームページに記載してあります。

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