滋賀県の漢方相談薬局

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1月, 2023年

漢方の風音 17号 打撲・内出血の危険性(駆瘀(くお)血(けつ)の重要性)

2023-01-12

なかがわ漢方堂薬局 中川義雄 

20数年ほど前の事です。当薬局は保険調剤をしておりました。調剤業務を忙しくしていた午前を過ぎようとしていた頃、○○警察署から電話が有りました。問い合わせ内容は、△△さんが自宅の居間で不審死を遂げたと言うものでした。
その部屋に当薬局の薬袋があり、どの様な薬を服んでいたかを教えてほしいと言う事でした。調剤歴より内容を伝えたのですが、一瞬、調剤過誤をしたのかと、物凄い不安感が頭をよぎった。
△△様は心臓疾患があって長期間、血小板凝集阻害薬など数種類の薬剤を服用しておられました。結果は調剤過誤が原因ではなく心臓のショック死だろうとの見解でした。
その電話があって数日が経ち、アッと思い出す事がありました。
△△様は亡くなられる数日前に処方箋を持って当薬局に来られたのですが、病院から当薬局に来る途中の狭い道(ちかみち)を歩いていた所、中学生位の男の子が自転車で物凄いスピードでぶつかって来たと言い、右腕は勿論、右半身の広範囲にひどい内出血を起こしていた。男の子は何も言わずに逃げて行ったと仰っていました。
つまり、△△様はその時の内出血が原因で亡くなられたのであろうと私は未だに思っております。

「漢方一貫堂医学」矢数格著の瘀血証体質・通導散証編に通導散は打撲傷の時に生じた瘀血が血熱を持って腹部から心臓部に上攻し、大小便が不通となって悶乱して死ぬ危険がある場合に用い、心下に急迫症状を呈すると同時に臍下膨満の傾向があるものである。
この打撲傷に際して生じた瘀血とは、むかし、刑罰の手段として行った杖傷(100叩きの刑)等の場合もそれであると書かれている。
つまり、杖傷の刑のあと体調を悪くして数か月~数年後に命を落とす事になるかも知れないので通導散でそれを防ぐと言うものである。
アイススケートをしていて、不意に突然衝突されて臀部から氷上に落ちて、強か強い衝撃を臀部に受けて以来、体調を悪くした方も知っております。
私の経験では42歳まで肩こり、首コリを全く知らなかったのですが、自動車事故で強く追突されてから首から肩にかけてのコリ、痛みを知るようになりました。

過日、150人以上の死者を出した韓国、梨泰院での圧死事故では立ったままで絶命した人もいたと言われております。
ある生存者がYOU TUBEで圧迫を受けていた部分の紫斑をアップしておりましたが足から腕にかけて接した部分の広範囲に内出血しており、圧迫された圧力の凄まじさを如実に物語っている。
今後のこれらの方の予後が心配です。
阪神淡路大震災で助け出されるまで長時間、柱の下敷きになっていて、その後、腎不全を発症して亡くなられた方が複数人おられた事も聞いております。

今から数年前、当時83歳の女性(骨粗鬆症で漢方治療中)が雑踏の石階段の途中で後ろから突然押され、顔を強か石段に強打して顔面半分にひどい内出血を起こした方の相談を受けたことがあります。
顎部の内出血が特に酷く、食事は勿論、言葉を発する事も出来ない有様であった。この方には通導散と芎帰調血飲第一加減と補中益気湯と三七人参を服用して頂きました。
回復を早めるのは勿論の事として、将来起りうる後遺症を防ぐ為の処方でもあった。

この瘀血証体質は後天的に生じる事が多いのですが生まれつき、持って生まれた方も沢山おられます。
年配の方はご存じだと思いますが往年の昭和の大横綱「大鵬」がその瘀血証体質であったと想像できる。
勿論、激しい相撲の稽古による衝撃も後天的に加わった事もありますが、あの若さで脳梗塞を発症した原因は生来の瘀血証体質であったと私は思っております。

漢方医学は「未病を治す」(将来、発症するであろう病気を予防する)が本来の目的としており、あの大横綱も塩分摂取に気を付けて通導散を組み入れた漢方処方薬を服用していれば脳梗塞を発症せずに少なくとも数十年は身体的に健康生活を送っていただろうと思っております。

若しも、自動車事故はじめ極めて強い衝撃を受けた時は強い駆瘀血薬で生じた瘀血を排除する事をお勧めします。

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