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漢方の風音 7号 学生時代の思い出(副題:嗄声、小児疝痛、心臓病、冷え性…について)
バリトン 中川 義雄
生来、小脳(運動神経)の働きの良さが有ったためか、体育の通知票の評価は高校二年を除いて全て最高の評価を頂きました。
中でも球技(野球は勿論、サッカー、バスケット、バレー、ハンドボール)は特に群を抜いていたと自他ともに認めるところです。
中学時代は野球部に所属し、1番バッターで打撃、選球眼、盗塁と野球センスは良かった。当時は大津市内の町単位の少年野球大会が有り、キャプテンをした中学二年次はキャッチャーで4番を任され、中央学区の大会で優勝して皇子山球場での決勝大会に進んだものです。
高校時代はラグビー部に所属し、足の速さを認められウイング(右)を任されたものの、試合になればトライゲッターより寧ろタックルばかりしていました。
公式試合で相手の選手をタックルで2名骨折させ(夫々別の試合で)、相手チームに目を付けられた。当時、同好会的側面が有った我が高校ラグビー班(部)も全員の努力の甲斐あって滋賀県で優勝し、近畿大会に進出した。進学校乍ら良く頑張ったものである。その時の仲間はその後の人生に大きな自信と影響を持ったと思っています。
私の運動神経の良さは、漢方医学で言う「小建中湯」体質であったからだと思っています。
この小建中湯体質は全員がそうではないが瞬発力が優れている事が間間有ります。
ラグビーで言えばステップを切って(瞬発力)相手選手をかわし突進する事が出来る。反面、この小建中湯体質はスタミナがなく持久力はからっきし駄目な所は特筆すべき所です。従ってこの私の小建中湯体質は放課後の練習後の自宅学習や塾は体力不足で辛いものが有ります。
小学生の内科検診で心臓の精密検査を指摘される事が往々にして有り、多くは成長するにつれて治って行きます。
子供の体質は大きく分けてこの小建中湯体質と小柴胡湯体質(一貫堂漢方医学では柴胡清肝湯体質)に分ける事が出来ます。前者は内向性で心臓、膀胱等のポテンシャルが低く筋肉が冷えやすく、心身共に緊張し易い性向があり、小児疝痛を訴える事が多い。性格は大人しく優しいが時に篤くなります。又、夜尿の傾向が有ります。
漢方医学を実践していると夫々の体質に依って、所謂、未病が分かり、性格までもが或る程度分かります。
例えば、六君子湯加柴胡、芍薬(柴芍六君子湯)体質の人は咽喉が弱く、ある特有の性格を持っている(ここでは省きます)。
大学に入学してからは、音楽好きの私はスポーツを離れて合唱団(混声)に所属した。
コーラス部の二年先輩のSさんが大学のコーラス部と京都男声合唱団とを掛け持ちしていた関係で当時の京都男声合唱団の指揮者であり、創設者でもあった故佐々木日出夫先生(平成13年に他界されたとホームページに記載されている)が我が合唱団の客演指揮をして下さいました。
私の所属していた大学の合唱団の同期の2名も京都男声合唱団に所属していた。
佐々木日出夫先生は大谷大学グリークラブ出身でお寺の住職をされていて、自らのお寺の本堂を練習場とされておりました。私も一度同期のH君に誘われて練習を見学させて頂きました。
先生の合唱に対する情熱は篤く、何より、響きのある美声の持ち主であった。又、優れた“耳”を持っておられ、指揮者として卓越した素養をお持ちでした。
京都と言う、同じ都市名が冠名の合唱団の大津男声合唱団に入団させて頂き、ふと佐々木先生を思い出します。
一回生で佐藤眞作曲“旅“を二回生で”蔵王“を指揮して下さり、猛練習をして合唱の素晴らしさを教えて頂きました。私の合唱に対する思いは先生の影響が大きくかかわって居ります。
ついで乍ら、その頃(3回生、4回生の頃)、地元の大津で8名がバリトンに属しておられます曽根さんを中心に男声合唱団”オクトコーラス“を立ち上げました。入団した経緯は思い出せませんが…。
当時、大学の部室には誰が購入したのか思い出せない龍角散と部費で購入した吸入器が置いてあり、よく使用したものです。龍角散は桔梗、杏仁、セネガ、甘草(何れも国家試験に出る傾向が高い生薬)が主薬で鎮咳去痰作用が有ります。
美声が出る様に期待して龍角散を練習の前や演奏会の前に一匙、口にいれたものですが、美声と鎮咳去痰とは関係性が見当たりませんが、発声が上手く出来る錯覚効果は絶大なものが有りました。
当時は他にも、ボンボックスなる商品名の美声の出る医薬品も有りました。
これは二年先輩のSさんから教わりましたが今、思うと如何なる作用機序だったのだろう。興味が有りますが、廃番となった今では知ることは出来ない。
細野史郎先生の“方証吟味”に声をよく使う人の嗄声の治療法が書いてあります。
外台秘要の四物湯加三味が良く効き、漢方の独壇場であると書かれてあります。又、麦門冬湯合半夏厚朴湯も良いと書いておられます。
因みに私は四小節、ノンブレスを可能にする為に柴胡桂枝湯(時に補中益気湯)と生脈散倍量を併用して演奏会に臨みます。
大津男声合唱団 Monthly booklet Vol 226