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漢方の風……掌蹠膿疱症の漢方治療
なかがわ漢方堂薬局 中川義雄
掌蹠膿疱症は以下の3点が発症原因ではないかと言われている。
① 喫煙が関わっている
② 体のどこかに慢性炎症があり、それが引き金となって別の場所に別の病気が引き起こされる事がある。例えば無症状の扁桃炎や慢性副鼻腔炎に潜む感染(病巣感染)や歯根部に潜む無症状の歯周炎(歯性病巣)など、通常は治療の必要が無い隠れた状態だったものが人によって掌蹠膿疱症の形となって発症する。
③ 金属アレルギー。歯科治療における金属が関係しているとも言われているが、その金属を除去しても掌蹠膿疱症は治らない事が多く、やはり歯性病巣が関係している可能性が高いのではないかとも言われている。
掌蹠膿疱症は汗管に何らかの関係で出来た水庖にサイトカイン(インターロイキン:IL17、23等)が誘導されて膿疱が形成されるとされている。
漢方医学では風寒湿が原因と考え、風湿に対して荊芥、防風、羌活、独活、茯苓等の祛湿作用の入った処方を使い、水疱と膿疱に対して、水が溜まらないようにし、又、一方で、これらは抗菌作用のある薬草でもあり、病巣・歯性感染を取り除き上記②を排除して治療するのである。又、痒みである風証にも上記の薬草で対処できる。
掌蹠膿疱症は経過の中で皮膚が固燥する。つまり膿疱が有った部分が固くなり、その後、その皮膚が捲れて衣服の着脱時に引っかかったりします。その皮膚の固燥を治すには潤おしてやれば良いと考え、滋潤作用のある薬草(苦参、地黄等)を祛風寒湿薬と併用すればうまく治療できるのである。
これらの薬草は抗生物質違い腸管内の菌叢には影響しないので安心して使用できる。